教皇とロシア正教会総主教が会談 会談は合同につながらぬ、とバチカン研究者 2016年2月27日

 教皇フランシスコとロシア正教会のキリル総主教は2月12日午後、キューバの首都ハバナのホセ・マルティ国際空港で歴史的な会談を行い、東西キリスト教会の再統一と、中東で暴力にさらされているキリスト教徒の保護を急ぐ必要性を呼び掛けた。

 東西のキリスト教会トップが会談するのは1054年に東方教会と西方教会が互いに相手を破門したいわゆる「教会大分裂」以来。モスクワ総主教とローマ教皇の会談は20年来の懸案だった。準備は秘密裡に2年がかりで行われていた。会談は、キューバのラウル・カストロ国家評議会議長の仲介で実現した。

 会談では、教皇と総主教が、抱擁して互いにキスを送った後に笑顔で着席した。教皇は、「私たちは同じ洗礼を受けた兄弟だ」と述べ、総主教も「開かれた心で話し合った」と肯定的に応じた。

 会談後、教皇と総主教は「乗り越えるべき多くの障害が残っていることは認識しているが、今回の会談が、神の望まれる再統一に寄与することを願う」という共同宣言に署名した。

 教皇と総主教は、中東や北アフリカなどの地でキリスト教徒が過激主義者などの迫害に苦しめられる現実に憂慮を示し、さらなる犠牲を阻止するよう国際社会に呼び掛けた。また、経済的不平等の中で苦しむ貧しい人々、新しい生活の基盤を求めてさすらう難民とも連帯すると述べた。

 双方は中東で過激派組織「イスラム国」に迫害されているキリスト教徒の保護でも共同歩調を打ち出した。

 会談について、毎日新聞がバチカン(ローマ教皇庁)の東方研究学院ステファノ・カプリオ教授にその意義を聞いた。

 「会談は東西キリスト教会『合同』への一歩にはならないと思う。むしろ、総主教が会談に同意したのは、教会合同問題は話し合わないからだと思う。歴代教皇と違い、フランシスコ教皇は教義面での主張はしない。お互いの独立性は変えずに、友好、協力、兄弟関係を進めようとしている」

 モスクワ発時事通信によると、ウクライナ東方カトリック教会(東方典礼カトリック教会)は会談について、ウラジミル・プーチン大統領に近い総主教が「政治化した」と非難した。両者の共同宣言は「ロシア側の影響下で起草された」と決め付けている。(CJC)

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