緊急事態条項の危険性学ぶ 「宗教者祈念集会」で早田弁護士 2016年3月5日

 緊急事態条項とは何かを知ろうと、仏教、キリスト教の垣根を越えた「宗教者九条の会」「平和をつくり出す宗教者ネット」は2月18日、「戦争法の廃止を求める宗教者祈念集会」を参議院議員会館(東京都千代田区)で開催した。

 大倉一美氏(カトリック正義と平和協議会事務局長)のあいさつの後、「明日の自由を守る若手弁護士の会」事務局長の早田由布子氏が「イマドキの改憲――緊急事態条項」と題し、改憲の危うさについて語った。

 2012年4月、自民党憲法改正草案に緊急事態条項が盛り込まれたことが、そもそもの始まり。同草案における緊急事態条項は、内閣総理大臣が(国会の承認不要の)閣議で緊急事態を宣言すれば、法律と同等の効力をもつ政令を内閣だけで制定できるというもの。

 「ナチスの全権委任法と同じ体制」と警鐘を鳴らす早田氏は、実際、緊急事態宣言を発令した他国で起こっている事態について紹介。昨年11月に同時多発テロのあったフランスでは、非常事態宣言下で夜間外出禁止令、デモの禁止令が敷かれた上、一晩のうちに無令状で168カ所の捜査差し押さえを行い、31丁の武器を押収、23人を逮捕したという。

 非常事態宣言下であることを理由に、反政府的な団体、宗教団体などへの捜査差押は横行しやすくなり、それは社会に対する委縮効果もある。さらに、緊急事態条項の濫用の恐れについて、「過去に目を向けても、平和憲法と謳われたドイツのワイマール憲法も、14年の間に緊急事態宣言は250回も濫発された」と指摘。「政府は災害を口実に改憲をしたいだけではないか」と疑問を呈した。

 続けて石川勇吉(日本宗教者平和協議会)、村瀬俊夫(キリスト者平和ネット)、小橋孝一(日本キリスト教協議会)の各氏がそれぞれに平和を訴えて会を閉じた。

 終了後、参加者たちは参議院議員会館の前で、憲法改悪と平和を訴えるシュプレヒコールを上げ、それぞれの教派で平和の祈りをささげた。

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