東日本大震災国際神学シンポジウム DRCnet・聖学院大・東京基督教大がフラー神学大と共催 2016年3月19日

 東日本大震災から5年を迎えるにあたり、2月29日と3月1日、お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で「東日本大震災国際神学シンポジウム」が開催された。テーマは「キリストさんと呼ばれて――この時代、この地でキリスト者であること」。震災後の支援活動の中で、キリスト者の支援者が「キリストさん」と呼ばれたことから、「日本人の99%にとってキリスト者は教派教団を超えて『キリストさん』である」という教会外の視点を念頭に、宣教、支援、社会への関わり、教会形成を考えるもの。1日目は約100人、青年を対象とした2日目は約70人が参加した。

 一般教職者・信徒を対象とした初日はウィルバート・シェンク氏(フラー神学大学院教授)と、吉田隆氏(東北ヘルプ代表、神戸改革派神学校校長)が主題講演を行い、パネルディスカッションの後、六つの分科会が行われた。

 シェンク氏は、キリスト者として災害に備える上で重要な神学的・道徳的側面について、二つの共同体の例を挙げて論じた。一つは、仏南東部にあるル・シャンボン村でナチスに抵抗し、ユダヤ人を救った改革派教会のアンドレ・トロクメ牧師と村の人々。もう一つは、2006年に米ペンシルベニア州のアーミッシュの学校を銃撃して自殺した犯人の家族に対して、赦しと思いやりと友情の精神を持って手を差し伸べたアーミッシュ共同体。

 シェンク氏は、弟子としての実践(プラクティス)が、災いと向き合うために彼らを備えたのだと主張。マタイ福音書5章3~12節の「幸福の使信」を、イザヤ書61章1~11節との並行関係から八つの項目にまとめ、イエスが弟子たちに実践(プラクティス)すること、すなわち「幸福の使信」を生きることへと召しているのだと論じた。

 吉田氏は、被災者の口から語られた「キリストさん」という言い方について、「そこには教派を超えた1人のキリスト者としての存在があるのだと思う」と述べつつ、それ以上の意味もあると指摘。「キリストを背負っている」「キリストを持っている」ということを被災者が気付かせてくれたのだとし、日本宣教を考える際に、自分たちのあり方について見直すべき事柄、新しい可能性がないだろうかと問い掛けた。

 その上で、「キリスト者」という名称を歴史的に考察し、小さい者、弱い者、抑圧されている者、倒れている者たちと一緒になることが、キリスト者のアイデンティティだと主張した。

 さらに、「イエス様がいてくださるだけで嬉しくなる」という「存在の福音」に注目し、被災地の中にキリスト者がいることで、安心感や喜びを与えることは大切な働きであると強調。「重い悲惨の中に押しつぶされそうになっている人々の十字架を一緒に背負っていこうとすることは不可能だが、圧倒的に無力な自分自身を役立てたいと思う姿、あり方が、この時代、この地でキリスト者であることの意義ではないか」と訴えた。

 パネルディスカッションでは、「線香の1本でもあげていけ」という言葉をテーマに、藤原淳賀氏(青山学院大学教授・宗教主任)の司会のもと、小田武彦(聖マリアンナ医科大学特任教授、カトリック大阪教区司祭、日本宣教学会理事長)、加藤誠(日本バプテスト連盟前常務理事、大井バプテスト教会主任牧師)、野田沢(日基教団学生キリスト教友愛会=SCF=主事)の3氏がパネリストとして登壇した。

 葬儀のため欠席した米内宏明氏(日本バプテスト教会連合理事長、国分寺バプテスト教会牧師、sola代表)は、ビデオメッセージで参加。「線香の1本でもあげていけ」という言葉は、同氏の関係するボランティアが被災地で活動する中で、津波で母親を失った男性から投げかけられたものだという。「そこで見えてきたことは、教会が口にしてきた十字架のメッセージの中身をどのように受け止め、分かち合ってきたかという問い直しだった」。同氏は宣教する教会を「ライフ・コーディネーターとしての教会」と定義。「新しいコミュニティの創成」という被災地の課題に対して教会は何ができるのかを考察した。

 同氏は、宣教の目的を「イエス・キリストにある人生を人々に提供し、人々が豊かに生きること」と定義するならば、教会はライフ・コーディネーターという位置に立たされると指摘。「コミュニティを創成する原点に教会はあるといってよい」と述べ、ロマ書12・15に教会の本来の性質があるのではないかと指摘した。

 分科会では、カトリック、プロテスタント諸団体や、超教派地域ネットワークによる報告・提言が行われた。

 同シンポジウムは、「いかにしてもう一度立ち上がるか――これからの100年を見据えて」を総主題に、災害救援キリスト者連絡会(DRCnet)、聖学院大学、東京基督教大学が、米国のフラー神学大学院と2012年から共催しているもの。4回目となる今年は、日基教団、日本同盟基督教団、日本福音同盟(JEA)など15団体が協賛し、いわきCERSネット、福島県キリスト教連絡会(FCC)など12団体が後援した。

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