「新約聖書の読み方」でシンポ 日本語注解書の執筆陣が意見交換 2016年4月2日

 『新約聖書解釈の手引き』(日本キリスト教団出版局)の刊行を記念するシンポジウム「新約聖書の読み方」が3月5日、日本聖書神学校(東京都新宿区)で開かれ、牧師や信徒ら約100人が参加した。

  第1部は「NTJ新約聖書注解をめぐって」と題し、辻学氏(広島大学教授)による司会のもと、日本語で書き下ろす聖書注解シリーズの途中経過が報告された後、浅野淳博(関西学院大学教授)、中野実(東京神学大学教授)、伊東寿泰(立命館大学教授)、須藤伊知郎(西南学院大学教授)の4氏がそれぞれの立場から、注解書の意義、聖書学とキリスト教信仰の関係性について意見を交わした。

 須藤氏は使徒言行録(8:31)のフィリポとエチオピアの宦官のやり取りの箇所を例に挙げ、解釈の必要性、多様な解釈の可能性について説き、中野氏は「教会的伝統から距離を取るという冒険に出なければならない」と述べた。伊東氏は「信仰者だけでなく、一般の人にも分かる言葉で説明できるかが解釈学につながっていく」と語った。

 第2部では「『新約聖書解釈の手引き』を巡って」と題し、まず浅野氏から、解説されている各々の聖書批評学が「テクストによるコミュニケーション」のどの側面に焦点を合わせ、かつそれらがどう関連し合っているかについて説明がなされた。

 次いで須藤氏は、文化研究批評の中に位置付けられる(新約聖書を帝国支配に対する適合と抵抗のテクストとして批判的に読み解く)ポストコロニアル批評について、実際に「東方の占星術師たちの到来」(マタイ2:1~12)のテクストをもとに、当時の植民地支配における歴史・文化的文脈から解説した。

 伊東氏は物語批評とスピーチアクト分析について、特に文学批評と歴史批評との関係性を視野に入れて説明し、中野氏は正典批評が、聖書を教会の書物として、解釈の積み重ね、伝統との関わりとの中で読もうとする方法であることを語った。

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