内田樹氏〝このままではダメになる〟 京都の宗教者が「戦後71年」で講演会 2016年5月7日

 京都宗教者平和協議会(宮城泰年理事長)は4月16日、内田樹氏(神戸女学院大学名誉教授=写真)を招いた講演会「戦後70年+1――戦後、日本は平和国家として歩んできたのか?」を龍谷大学響都ホール(京都市南区)で開催した(京滋キリスト者平和の会、日本キリスト教婦人矯風会京都部会ほか8団体が協賛)。

 同協議会は1961年、宗派や宗教の境を超えて宗教者が平和を願い行動する団体として、京都・清水寺の大西良慶管主などにより結成された。

 今回の講演会は、戦後70年の節目の年だけでなく、その翌年にこそどんな新しい1歩を踏み出すのか考えたいとの思いで企画されたもの。

 内田氏は、三権分立が崩壊し、内閣が絶対的な権力を持つ現在の政治をさまざまな切り口から分析し、「このままではこの国がダメになる」と強調した上で、昨年、安保関連法が可決され「戦争ができる国」への傾斜が加速する中、「さまざまな形で起こった運動を、一人ひとりから同心円状に広げていくことが重要」と語った。

 講演を受けてのシンポジウムは、五十嵐隆明(社会福祉法人同和園理事長、京都仏教徒会議前事務局長)、宮城泰年(本山修験宗聖護院門跡門主)の両氏をパネリストに迎え、釈徹宗氏(浄土真宗本願寺派如来寺住職、相愛大学教授)の司会で進行。

 釈迦の教えや、山伏の考え方、ガンジーや、ニーメラーの言葉などが紹介され、活発な意見が交わされた。「朝鮮戦争で経済成長してきた歴史を踏まえ、経済成長しない社会でどう生きていくかを考え、行動しなければならないのではないか」など、予断を許さない状況の下で、今後の進むべき方向を共に模索した。

 熊本地震から2日後の開催ということもあり、冒頭では黙祷がささげられ、募金箱も設置された。参加した市民ら約330人からは、「平和とは、戦争がない状態だけでなく、悲しみ困難な状況にある人たちに寄り添うという思いを改めて強くした」などの感想が聞かれた。

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