戦争の正当化に与しないため 芦名定道氏が京大で講演 2016年5月7日

 京都大学(山極壽一総長)は4月6日、13日、20日の3日間にわたり、「宗教と平和」をテーマとする公開講座を開催した。学術研究活動の中で培われた知的資源を、広く学内外の人々と共有するため、1988年秋から続けて開講しているもの。

 「『戦争と平和』の時代とキリスト教」と題して芦名定道氏(同大学大学院キリスト教学教授)が講演した(約370人が参加)ほか、「仏教は平和に寄与しうるか?」「平和・愛・共存を求めるイスラームのもう一つの顔」との演題でそれぞれの宗教に関する講演も行われた。

 芦名氏は講演の冒頭「キリスト教は平和主義か、戦争好きか?」と問い、イエスの宗教運動の理念を「絶対平和主義」として、「敵を愛し、あなたがたを憎む者に親切にしなさい。……頬を打つ者には、もう一方の頬をも向けなさい」(ルカ6・27~29)を引用。同時に聖書が戦争のメタファを多用していることに注意を促し、軍隊が必要とする精神性が宗教的であることを説明、単なる兵役拒否が絶対平和主義ではないとした。

 次に、戦争に関する立場には、絶対平和主義、正戦論、聖戦論の三つがあり、キリスト教が古代から現在にかけて、国家との相補的関係の中でその立ち位置を決めた結果、戦争を正当化したこともあると指摘。

 また内村鑑三が義戦論(日清戦争)から非戦論(日露戦争)へ変化した過程をたどり、内村がキリスト教史をさかのぼるように「戦争絶対廃止論者」となり、その非戦思想が戦後日本の平和運動と朝鮮無教会に継承されたことを紹介した。

 「平和のために宗教は何をなし得るか」との問いに対し、宗教的多元性と対立の現実を認めた上で、第一にキリスト教が戦争の正当化に加担しないために論理を構成し議論を深めること、第二に国教会制であっても多元的社会であるからこそ、教会は国家に追従することなく、むしろイエスの理念「絶対平和主義」を掲げられる、と締めくくった。

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