同性愛めぐる世界聖公会の議論 リーズ大学のK・ワード准教授が解説 2016年5月7日

 アングリカン・コミュニオン(世界聖公会)で激しい議論が繰り広げられている同性愛の問題について、英リーズ大学アフリカ宗教学講座准教授のケヴィン・ワード氏=写真=が4月11日、立教大学(東京都豊島区)で講演した(同大学キリスト教学研究科主催)。

 今年1月のアングリカン・コミュニオンの「首座主教会議」で、米国聖公会を3年間、アングリカン・コミュニオンの教理と教会行政をめぐる意思決定から排除する決定がなされた(1月30日付既報)。これは、米国聖公会が前回総会で、同性婚を可能とする教会法規改正を決議したことを受けたもの。米国聖公会は2003年に公然同性愛者のジーン・ロビンソン司祭を主教に按手したが、アフリカなどの聖公会諸管区が、聖書の教えに反するとして反発していた。

 ウガンダ聖公会で按手を受けた司祭であるワード氏は、アングリカン・コミュニオンの中でも特にこの問題に関して辛辣なのはウガンダ聖公会だと指摘。首座主教会議で同聖公会のスタンリー・ンタガリ大主教は、米国聖公会をアングリカン・コミュニオンのすべての会議から排除する議案を提出したが、否決されると会議から退席したという。

 ワード氏によると、ウガンダでは1997年まで同性愛の問題は社会的にも政治的にもそれほどの関心事ではなかった。ゲイの人々を認める米国聖公会のポリシーが98年のランベス会議で許されるのではないかと懸念した保守的な米国聖公会の信徒が、「聖書の教えに反して同性愛が認められるようになるかもしれない」と、ウガンダを含む世界各地で警告の声明を発表した。同氏は、「強い福音主義的な伝統を持つウガンダ聖公会では、聖書の権威にかかわるアピールは大きな効果を持つ」とし、人口の3分の1以上が聖公会である同国において、この問題が教会から社会一般へと広がった経緯を解説した。

 最後に、「アングリカンの包含性は、キリスト教の真理理解のラディカルな違いを包含することができるだろうか。そもそもそれを目指すべきか」と問い、「ゲイの人々を『歓迎する』が『肯定する』のではない」という考え方は、神学的にも倫理的にも正直な解決とは言えないと述べた。

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