「何に困っているか」解明し支援 藤田孝典氏がルーテル学院大学で講演 2016年5月21日

 ルーテル学院大学(東京都三鷹市)は4月27日、建学の精神「キリストの心を心とする」に沿った活動をしている人物を招いて毎年4月に行う「クヌーテン講演会」を開催した。これは同大学で教鞭をとり、奨学金を設立した宣教師のアーサー・C・クヌーテン博士夫婦を記念したもの。約200人の学生が参加した。
 今回は同大大学院卒業生で、聖学院大学人間福祉学部客員准教授であり、NPOほっとプラス代表理事の藤田孝典氏が、「社会的に弱い立場に置かれている人々との関わりのなかで――社会変革を求める福祉実践の日々」と題して講演した=写真。ほっとプラスは、生活困窮者の相談とケアの実践を行うNPO団体。
 同氏は、学生時代よりホームレスの人々を訪ねて話を聞くことを開始。打ち解けていたホームレスの男性のテントが、ある日行政により撤収され、それ以来男性が行方知れずになったことに同氏は贖罪の意識を持った。日雇い労働者の町で実習をした時には、「人間は家というものがないと、こんなにも弱いものか」と実感したという。
 ホームレスと関わる中で驚いたことは、制度があっても知らずに使えていない人が多いこと。よって同NPOでは「何に困っているか」を解明し支援をしているという。また同NPOでは前科のある人の支援も行っており、彼らをケアしてきた実感として、支援ができれば再犯率は変わるという。実際に同NPOでケアした前科者で再犯に手を染めた人は1人もいない。
 同氏は彼らが再犯に走る理由を、「生活保護」などの制度を知らずにいたことで、貧困ゆえ犯罪に追い込まれてしまうからだと指摘。現代社会は世代を問わず貧困が拡大している。弱い立場の人が悪いのではなく、制度、社会のありように問題があると分析。「好んでホームレスをやっている人に出会ったことはない」と言う同氏は、ミクロレベル(個人援助)からマクロレベル(社会政策への提言)の連動が大切だと説き、またソーシャルワークの縦割りに疑問を呈した。
 最後に学生たちに、「ソーシャルワークは学問も現場もどちらも重要。しっかりと学び、現場で生の声を聞く経験も積んでほしい」と締めくくった。

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