在日本韓国YMCA110周年祝う 自分らしさ輝かせて生きられるように  2016年5月21日

 在日本韓国YMCA(東京都千代田区、李清吉理事長)は創立110周年を迎え、4月25日に同所で記念式を開催した。

 記念式には約200人が出席。金性済氏(在日大韓基督教会総会長)が「神の祝福として生きる寄留者」と題して説教した=写真右。

 金氏は、アブラハムがカナンの地で祭壇を築き、井戸を掘ったことに触れ、「祭壇を築く」とは神と人間の間に平和を実現すること、「井戸を掘る」とは人と人の間に平和を与え共に生きることだと説明。「日本の地において、日本と韓国の間において、また東北アジアにおいて、敵の関係であった者が和解され、平和への道へと歩むことができる」とし、そのために祭壇を築き、井戸を掘る使命をまっとうすることが、同YMCAに与えられた使命だと述べた。

 また、昨年11月に同YMCAを会場に在日大韓基督教会が主催する第3回「マイノリティ問題と宣教」国際会議が開催されたことを紹介し、その結果として2017年春に向けてマイノリティ宣教センターの設立を計画していることを明かした。そして、同会議において、世界のさまざまな教派・教団が神の正義と平和のために一つになったとし、それが東京にある同YMCAの精神、文化、使命だと語った。

 記念式の最後に創立110周年宣言が読み上げられた。この中で、韓国人キリスト青年たちによって始まった同YMCAは、さまざまな国籍、ルーツを持つ青年たちに開かれたものになったと述べ、「在日」という言葉は日本人も含めた、この社会に生きるすべての人々のための言葉であり、この社会を構成する人々の多様性を意味していると強調。若い世代を中心に、自らの個性、自分らしさを輝かせて生きられるようになることを目指して働きを続けていくことを誓った。

 また10年前、創立100周年を迎えた際に、「和解と共生」をスローガンに掲げ、世界に働きの場所を広げていくことを誓ったことを振り返った上で、その後の世界情勢を顧みると国家間、民族間、宗教間の対立がむしろ深まっていると懸念。日本国内でのヘイトスピーチや歴史修正主義の台頭、震災と原発事故の影響にも言及し、さまざまな問題を抱え小さくされている人々、理不尽な差別や暴力に苦しむ人々の声に耳を傾け、その声を社会に届け、共に生きていけるようにすることが、「真の多文化共生社会を実現する唯一の道」だと訴えた。

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 記念式に先立ち、16日には「えがきだせ! あなたの想い」をテーマに創立110周年記念フォーラムが開催された。次の150年、200年に向けて日本社会に暮らす多様なルーツを持つ青年の声を聴こうと「メッセージ・コンテスト」が企画され、韓国や中国、ネパール、インドネシアにルーツをもつ教会青年が参加。スピーチの他、歌や踊り、寸劇などを披露した。約60人が参加した。

 最優秀賞にはインドネシア福音教会のリビオローレントスカンディ氏=写真左上=が選ばれた。インドネシア・ジャカルタ出身の同氏はスピーチの中で、日本に留学した理由を「日本が好きだから」と話し、「好きであれば実行に移す。それがわたしのモットー」と主張。日本の若者に向けて、「怖いことや不安なことはどこにでもある。選択するのはわたしたちだから、他人に何かを言われても気にしないで好きなことをやってほしい」と呼び掛けた。

 フォーラムの最後には「創立110周年ユース宣言」が読み上げられた。この中でも、「在日」という言葉が「社会に暮らす一人の人間として、多様性の一部であることを意味している」とし、それは「個性」「自分らしさ」に言い換えられると強調。「多くのことを学ぶとともに、自らと向き合い、社会と向き合い、悩みと苦しみの中に希望を見出しながら歩むこの時間こそが、私たち一人ひとりの個性を実らせるための尊く、かけがえのない時間」だと述べた。

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 同YMCAは、皇城基督教青年会(現・ソウルYMCA)の副総務であった金貞植らによって1906年、「東京朝鮮基督教青年会」として活動を開始。前年に閉鎖された在日韓国公使館に代わり、韓国からの留学生の保護や日本語教育のほか、聖書研究なども行った。創立2年後には同YMCAの集まりから、現在の在日大韓基督教会が誕生した。

 1919年2月8日には、日本の統治下にあった朝鮮の独立を宣言する「二・八独立宣言」が同YMCAで採択され、朝鮮での三・一独立運動に影響を与えた。

 現在は、韓国文化を中心とした国際文化活動、日本語学校、在日本韓国文化館を活用した韓日文化交流、宿泊研修事業などを展開。韓国YMCA全国連盟と日本YMCA同盟の双方に加盟し、アジア・太平洋YMCA同盟、世界YMCA同盟に連なっている。

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