西南学院が創立100周年を記念 卒業生の医師・中村哲氏が講演 2016年6月11日

 西南学院(福岡市早良区)の創立100周年記念式典・講演会が5月14日に福岡国際会議場(同市博多区)で開催され、約1500人が参加した=写真。同学院宗教主事のリディア・ハンキンス氏が、100周年を迎えるにあたっての祈りをささげた。福岡県知事の小川洋氏や日本バプテスト連盟理事長の田口昭典氏らが祝辞を述べた。

 同学院中学校の卒業生である医師・中村哲氏が、アフガニスタンでの1980年代からの医療と農村復旧支援活動について講演した。2001年の9・11テロ事件発生後、米国がアフガニスタンのタリバン政権に対して空爆を開始したときのことを振り返り、「実際は無差別爆撃だった。爆撃によって死んだのは、ほとんどが、子ども、高齢者、女性。逃げ足の遅かった人々が犠牲になった」と語った。「アフガニスタンに必要なのは爆弾の雨ではなく、水と食べ物」であったと強調。空爆が続く中、死と隣り合わせで、現地の「同胞」のために配給活動を行ったことを振り返った。

 タリバン政権が崩壊し、米軍進駐後のアフガニスタンについて、「やってきたのは、ケシ栽培の自由。女性が外国兵相手に売春をする自由。貧乏人が餓死する自由」だったと指摘し、そのような情勢の中でも、地域に根差した復旧支援活動に徹したという。「どんなに薬を運んでも、飢えること、渇くことは治せない」と述べ、日本では当たり前とされている水路や取水設備の建設に従事し、荒野であった農村と難民となっていた人々の生活秩序が回復していった実例を語った。

 同学院理事長・院長のG・W・バークレー氏と在学生らによる未来宣言がなされ、式典は閉会。マリンメッセ福岡(同市博多区)を会場に、合同同窓会総会と記念祝賀会が開催され、中学・高等学校・大学の同窓会関係者など約4200人が参加した。

 同学院は冊子『西南よ、キリストに忠実なれ 西南学院創立百周年に当たっての平和宣言――西南学院の戦争責任・戦後責任の告白を踏まえて』を発行し、記念式典の参加者に配布した。

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