ハンセン病問題で聖公会が謝罪 「らい予防法」廃止20年、啓発活動を約束 2016年6月18日

 日本聖公会は6月2~4日、第62(定期)総会を牛込聖公会聖バルナバ教会(東京都新宿区)で開催し、「ハンセン病回復者と家族のみなさまへの謝罪声明」を決議した。「らい予防法」廃止から20年、国賠訴訟勝訴から15年を迎える今年、回復者やハンセン病療養所入所者とその家族に対し、日本聖公会がハンセン病問題について十分な啓発活動を行っているとは言えない現状を認めた。

 声明は、明治から大正期に宣教師のハンナ・リデルやメアリー・ヘレナ・コンウォール・リーがハンセン病患者の救援活動を行ったことを振り返るとともに、絶対隔離主義を基本とする政府のハンセン病政策が進行し、「無らい県運動」がその後の日本におけるハンセン病に対する偏見・差別の原因となったことを指摘。1950年代になり、「全国ハンセン病患者協議会」(全患協)が結成され、「らい予防法」闘争が行われたが、「当時の日本聖公会はこの闘いに真摯に向かい合うことができませんでした」とし、「入所者の闘いは政治的な事柄であり、信仰とは別の次元のことと考え、さらには聖書の中に登場する『らい病』にとらわれて、患者を憐れみ、同情の対象と見なして、当たり前の人間であろうとする入所者の運動に、距離を置いてきた」と謝罪した。

 96年に「らい予防法」が廃止され、日本聖公会第49(定期)総会は「『らい予防法』廃止とそれに伴う十全な措置を求める宣言を決議する件」を採択したが、「この宣言は、『らい予防法』廃止とそれに伴う十全な措置を求めるのみで、日本聖公会のハンセン病患者に対する過去の関わりについての反省も謝罪もありませんでした」と指摘。入所者と回復者への謝罪が遅れたことは「怠慢」だったと述べ、その原因は「日本聖公会が療養所内に教会を持ち、回復者と交流してきていることへの自負と、患者救済に携わったリデル、リーという偉大な先達をその歴史の中に持っていることへの驕りにあった」として、先達の精神と働きを受け継ぐことができなかったことを懺悔した。

 また、2004年の日本聖公会第 55(定期)総会で、「ハンセン病問題啓発の日を設け、ハンセン病問題への理解が深まるために祈る件」を採択したことにも触れ、今後、偏見・差別をなくすための啓発活動に積極的に取り組むことを約束した。

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