女性と子どもが安心できる社会へ 130周年迎える「矯風会」が全国大会 2016年6月25日

 今年12月6日に創立130周年を迎える日本キリスト教婦人矯風会(東京都新宿区、川野安子理事長)は6月3日、2016年度全国大会を同会館で開催した=写真右。スタッフを含め、全国の部会・グループから100人以上が参加し、「女性と子どもが安心して生きられる社会の実現」に向けて活動を継続していくことを確認した。

 開会礼拝で、「130年の神の祝福の歩みを感謝して」と題してメッセージを語った同会元会長の一色義子氏(恵泉女学園元理事長=写真左)は、「必要な人に必要な力を注ぐ矯風会の仕事は、何と祝福された生き方であろう」と述べた。

 

 そして、1886年に東京・日本橋教会で祈りと礼拝をもって始められた同会が、日本初の女性の組織体であったことや、日本国憲法ができる前に組織されたことに言及。戦争や災害などを乗り越えて、先人たちの働きが受け継がれてきたことについて、「神の大きな働きがわたしたちの小さな手を通して実現されてきている」と述べ、「恵まれた群れ」であることを感謝した。

 理事長の川野氏は、「キリスト教精神に基づいて女性の視点から人権と平和を守る活動が継続しているということを共に喜びたい」とあいさつ。一夫一婦確立の建白を元老院に提出した矢嶋楫子、足尾鉱毒事件に端を発する公害問題に取り組んだ潮田千勢子、大阪「飛田遊郭」の反対運動を展開した林歌子、女性参政権獲得運動を行ったガントレット恒子、廃娼運動に取り組んだ久布白落實といった先人たちの歩みを振り返った。

 また、特定秘密保護法と安保法制が成立した現在の状況を憂い、それらを運用させないようにするために、地域の市民活動とも協力して日常的に反対の声を上げることを訴えた。

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 大会では、同会の厳しい財政状況が報告され、130年の歴史を次の世代に継承するため、収益事業による財政の安定化と、公益事業の再構築、業務・体制の見直しによって社会のニーズに応えることが中長期計画として示された。

 また、1895年に創刊され、昨年120周年を迎えた「婦人新報」(偶数月発行)の名称変更について報告があった。新名称は「k-peace」。「人権と福祉 女性の視点から」という言葉が添えられる。矯風会の「k」と、同会の願う「平和」が新名称の由来。来年4月から変更される。

 さらに、昨年9月に実施された会員アンケートの集計結果が発表された。アンケートは正会員703人を対象に行われ、233人から回収(回収率33%)。

 会員歴を問う設問では、「10年以上」が57人と最も多く、「5年未満」46人、「20年以上」44人、「30年以上」41人という結果。年代別に見ると、70代が103人、60代55人、80代53人で、90歳以上も4人いる。20代と30代はそれぞれ1人ずつ。教会や友人・知人を介して入会した人が多く、会員を続けることで視野が拡大したという意見が多かった。

 会員になって大変なことは、60人が「特にない」としているが、「活動の場が遠い」56人、「会費の負担」44人と、高齢者にとっては会員を続けることが厳しい状況にある。

 自由記入では、若い人とのつながりが課題とされ、「初心のビジョン」を明確にして学生や教会の若い世代に働きかけることを挙げる意見が目立った。男性の賛助会員を増やすことや、活動しやすい拠点づくり、ホームページの充実なども課題として指摘された。

 参加者同士の意見交換もなされ、同会の財政難が地方の会員に伝わっていないという声や、会員が増えない原因として教会の婦人会が優先されている現状を指摘する意見もあった。

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 同会は1886年、米国から来日した禁酒運動家の演説をきっかけに、「東京婦人矯風会」として発足。初代会頭は矢嶋楫子。93年から全国組織に、1923年から財団法人(2012年から公益財団法人)となった。キリスト教精神に基づき、女性の視点に立って、すべての人々の人権と平和が守られるよう、困難な状況にある人々、特に女性と子どもへの支援に努め、社会全般の福祉の増進に寄与することを目的としている。

 女性福祉事業として、国籍を問わない女性・母子のための緊急避難シェルター「女性の家HELP」、単身女性の生活再建のための中長期シェルター「矯風会ステップハウス」を運営している。15年度、前者は83人の女性と17人の子どもが利用。後者は40人の女性が利用した。

 女性人権事業としては15年度、全国10地域で18回の講演会・トークセッションを開催、延べ900人が参加した。また「女性の家HELP」の電話相談では、36以上の国籍の人からDV(ドメスティックバイオレンス)被害や一時保護依頼など786件の相談を受けた。

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