「いのち」の尊さ取り戻さなければ クリスチャン・アカデミーが連続講座 2016年6月25日

 日本クリスチャン・アカデミー関東活動センター(戒能信生運営委員長)は6月6日、「いのちを考える――命の現場とキリスト教」と題する全5回の連続講座を日本聖書神学校(新宿区下落合)でスタートさせた。第1回のこの日は「キリスト教といのち」と題して、賀来周一氏(キリスト教カウンセリングセンター理事長)が講演した。

 同氏はまず、機械論的生命観(遺伝子工学など)の優位により、役に立つかどうかで判断される「いのち」の危機に対し、「聖書的視点によって、賜物としての『いのち』の尊さを取り戻さなければ」と語った。

 また最近の自死の傾向について内閣府の統計をもとに解説した上で、自身の経験とそこから見えてきた課題として、「遺された者の心情」「自死は罪にあたるか」「スピリチュアルケアの視点からの罪と救い」「グリーフケアにおける悲嘆への心理的関わり」などを挙げた。特に教職者の自死についても言及し、「女性教職者の割合が高いのは、責任感の強さによるのではないか」との懸念を示した。

 自死の原因については、「人はうつ病だから自死を選択するという面も当然あり得るが、他方、懸命に生きようとしたがその道が一つずつ閉ざされていったため、生きるという選択肢がなくなってしまい、本人の意図とは別に自死を衝動的に選択してしまうのではないか。それは神さまだけが知る、本人すら分からないことではないか」と語った。

 さらに、危機にある人々への援助のあり方について、牧会的な援助の視点から、一緒にいてくれる共有者の存在の必要性を訴え、言語を主として吐露される心情への傾聴的、共感的、態度と同時に、立ち居振る舞いや言葉遣い、音楽や絵画、生活空間、自然の景観といったサクラメンタルな意味合いを持つ、非言語ケアの重要性も語った。

 最後に、遺族、関係者へのケア、葬儀のあり方について、共に歩む寄り添い人の存在の必要性と「(神に)委ねる信仰」、他者と分かち合える慰めと希望の物語(証)が大切であると結んだ。

 次回は7月4日、同じ会場で齋藤友紀雄氏(日本自殺予防学会理事長)が「死生学から見た自殺の問題」と題して講演する。申し込み、問い合わせは同センター(info@academy-tokyo.com、TEL03・3207・6198)まで。

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