8.15敗戦記念日特集号メッセージ 2016年8月13日

「平和をつくる者は幸いです。
    その人たちは神の子どもと呼ばれるから」
           (マタイ5・9=新改訳)
 山本陽一郎

 「日本は二度と戦争をしちゃいかん」が、帰天した祖父の口癖でした。若い日に海軍で任務につき、戦争の理不尽さを肌で知っている人でした。夢を奪われ、特攻に出る仲間たちを見送り、消えない傷を心に負った人。戦争を体験していない孫のわたしの前で、祖父はよく言っていました。「平和はどれだけありがたいものか。それが分かっとらん連中が増えてきた。戦争を体験しないと平和が分からんようじゃダメなんだ……」

 それほど祖父の中には、今度こそ平和を大事にする国でありたいという思いが強いのだなと、子ども心に感じたものでした。

 今年も8月15日が来ます。「改憲勢力」が衆参両院の3分の2以上を占めるのは戦後初めてのこと。ここから先、わたしたちがどれほど強く「平和の経験」を守っていきたいと願うか。それが戦争の大きな「抑止力」になっていくでしょう。これからも祖父たちからのバトンを止めてはいけないと思っています。

 どんな人も、争いではなく、平和を望みます。それなのに、昔から今に至るまで、この世界には争いが絶えません。平和をつくることは決して簡単ではないのです。しかし、それはこの地上を歩まれたキリストご自身が誰よりもよくご存じのことでした。

 争いや嘆きがそこかしこにあるこの世界だからこそ、平和の光は輝くのではないでしょうか。平和をつくることが難しいからといって、わたしたちは諦めてはいけません。キリストは、平和をつくる人、平和を実現する人は「神の子どもと呼ばれる」と言われます。

          

神との平和をもつ

 平和をつくるためには、まずわたしたち自身が神との平和をもつことです。神に赦された者、そして神に愛されている者として生きることです。罪を悔い改め、神との交わりを回復することなしに、主が語られた平和をつくることはできません。

 人はその罪のために神との関係が壊れてしまい、それによって人と人との関係も壊れてしまいました。ですから、まず神との関係が回復されることがどうしても必要です。神との平和を与えるため来てくださったキリストは、罪人のわたしたちの救いのために、身代わりとなって神の裁きを受けてくださいました。このお方を心の中心にキリストをお迎えする時に、わたしたちの人生は変えられます。神との和解を与えられ、真の平安、平和を知る者へと変えられるのです。

人の間で平和をつくる

 平和とはそこにあるもの、もらうもの、ではなく、「つくるもの」「実現するもの」であるとキリストが言われたことに、今さらながら衝撃を受けます。それは、受け身や傍観ではなく、主体的で、選択的で、決断的な生き方です。神との平和を与えられた人たちが、それを土台として、人と人との間で平和を実現していくのです。

 しかし、国際情勢、政治の動き、わたしたちの周りを見る時、あまりにも自分の存在はちっぽけだと感じることも多いのではないでしょうか。いいえ、平和づくりの難しさは、わたしたちの外だけでなく、本当はわたしたちの内にこそあると言ってもよいかもしれません。恐れです。すぐにヨコを見るのです。みんなはどうか。こんなことは言ったら変に思われるのではないか、と。結局、自分のことばかり考えてしまうのです。どこまでわたしたちは自己中心でプライドの高い者なのでしょうか。

 しかし、だからこそ、主の声に耳を傾けたいのです。

キリストを見る

 キリストは、「平安があなたがたにあるように」と言われました。これは、復活された主が弟子たちを宣教へと遣わされる時に与えてくださったことばです(ヨハネ20・19~21)。恐れを抱き、目の前の出来事に心とらわれるわたしたちの真ん中に、主イエス・キリストは入ってきてくださいます。周りではなく、このお方を見る時、わたしたちは喜ぶのです。力が与えられ、世が与えるものとは違う真の平安が与えられるのです。

 キリストのわざを受け継ぐ者たちに主がかけてくださったメッセージ。キリストと共に生きる者たち、キリストの愛を知る者たちに、真の平和・平安があなたにあるようにと言ってくださった主イエス・キリスト。わたしたちはこのことばを受けて今日も遣わされています。

 平和をつくる者とは誰でしょう。わたしたちです。

 

 やまもと・よういちろう 日本同盟基督教団多治見中央キリスト教会牧師。1974年東京生まれ。日本同盟基督教団国立キリスト教会で受洗。東京基督教大学神学部神学科、東京基督神学校神学科卒業。日本同盟基督教団中野教会協力教師を経て、2003年から現職。松原湖バイブルキャンプ委員長、PMPM@NAGOYA実行委員長。家族は、大学時代に出会い結婚へ導かれた妻と、中学生、小学生の娘2人。趣味は街歩き、スポーツ観戦、写真など。甘いものには目がない。

写真/高田知範

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