〝福島は沖縄の抵抗から学ぼう〟 「平和旬間」に神田香織氏が講談披露 2016年9月3日

 「日本カトリック平和旬間」の初日にあたる8月6日、カトリック麹町教会ヨセフホール(東京都千代田区)で「呆れ果てても諦めない――福島や沖縄から学ぼう」と題した講演会が行われた(カトリック東京教区平和旬間委員会主催)。登壇したのは講談師の神田香織氏=写真。今回のテーマである福島と沖縄両方の問題に詳しいことから講師として招かれた。200人を収容するホールはほぼ満席となった。

 岡田武夫東京教区大司教のあいさつに続いて登壇した神田氏はサイパンで戦跡を巡ったことをきっかけに「不幸な側の人々に立った」話をするようになったという。広島、長崎、沖縄を取材し講談にした『はだしのゲン』の一部を披露した後、2年前の春に出身地福島で初演した講談『福島の祈り』を披露した。

 その内容は、福島県いわき市出身で東京在住の主婦が、東京も放射能汚染されている現実を見据え、子どもを連れて地方に母子避難するというもの。

 同氏は、原発事故で多くの人がいのちを落としているにも関わらず高市早苗総務大臣が「原発では誰も死んでいない」と発言したこと、日本オリンピック委員会の竹田恆和理事長が「東京は福島から250㌔離れているから大丈夫」と、福島の人の気持ちを蔑ろにする発言をしたことを受けて、あえて彼らのいる東京を舞台にしたと説明。

 震災時福島では、被ばくの避難指示発令のため、被災者救助のリミットとされる72時間を前に救助隊が撤退、救えたはずの多くのいのちが失われたと語った。沖縄・辺野古にも何度も足を運ぶ同氏は、「福島は沖縄の抵抗の仕方から学ぶことが多くある。政府のやり方には本当に呆れ果ててしまうが、それでもあきらめずに前を向いていこう」と呼び掛けた。

 閉会後、岡田大司教を先頭に麹町教会から関口教会(東京都文京区)まで平和巡礼ウォークを開催。歩きながら平和の大切さを訴えた。

 日本カトリック司教協議会は、広島原爆投下の8月6日から太平洋戦争敗戦の日であり聖母被昇天の祭日の8月15日までを平和旬間としている。1981年に定められ、今年で35回目を迎えた。

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