摩擦越えイエスを主とする世界を 同盟教団8・15平和祈祷会に星出卓也氏 2016年9月3日

 日本同盟基督教団「教会と国家」委員会(柴田智悦委員長)は8月13日、中野教会(東京都中野区)で8・15平和祈祷会を開催した。日本福音同盟(JEA)社会委員会委員、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会委員、キリスト教学生会(KGK)理事長の星出卓也氏(日本長老教会社会委員会委員長、西武柳沢キリスト教会牧師)=写真=が、「国のものか、キリストのものか――戦争と社会儀礼・教会が克服すべき宿題」と題して講演。約50人が参加した。

 星出氏は、明治以降皇室神道を国民に浸透させる政策が推進され、「祝祭日」のシステムによって皇室祭祀が国民全体の生活に影響を与えてきたことを指摘。1890年の「教育勅語」により、皇室を神的な存在として敬い献身するという宗教的な思想が学校教育を通して国民の道徳として推進されたことを説明した。

 その翌年の「内村鑑三不敬事件」に触れ、明治憲法下ではキリスト教信仰は認められていたが、あくまでも天皇を現人神として参拝することを前提とし、それに抵触しないキリスト教が求められていたと解説。その後、天皇参拝の潮流が社会全体を巻き込む大きな流れとなり、教会もそれに飲み込まれ、同調するようになっていったとし、「イエスは主である」という教会の信仰の根幹が「イエスも主である」という信仰に変容していったことを指摘した。

 また、津地鎮祭訴訟や自衛官護国神社合祀事件を例に、戦後においても「日本人は神道的なものを『宗教』と思わず、日本の『伝統』であるとすり替えていくことが根強い」とし、「もしキリスト者がいなければ、それを誰も疑問に思わない。日本社会の中にキリスト者がいることは極めて大事」と主張。かつてのような祭政一致の国家へと日本が向かい始めていると危惧し、キリスト者は内村鑑三と同じ課題に向き合っていると述べた。

 そして、「この社会が当然としていることに向き合い、『わたしはイエスを主とする民である』と証ししていくと、必ずそこに摩擦が生じる」とし、「その摩擦を主の助けによって乗り越えていく時、イエスを主とする世界が開けてくる」と語った。

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