「二度と戦争しないで」 現代ぷろ 三浦綾子原作『母』を映画化 2016年9月10日

 株式会社現代ぷろだくしょん(山田火砂子代表)は8月23日、三浦綾子原作の映画『母――小林多喜二の母の物語』の制作発表記者会見を東京・銀座で開催した。同作は『蟹工船』をはじめ数々のプロレタリア文学を手がけ、治安維持法下の逮捕、拷問により29歳の若さで殺された小林多喜二と、その母セキの生涯を描いた三浦文学の集大成。昨今の「きな臭い」動きに危機感を募らせた山田火砂子監督が、これまでの「福祉」映画から「反戦」「平和」へと路線変更し、満蒙開拓団を描いた『望郷の鐘』に次ぐ作品。

 山田火砂子監督(左から3人目)と出演者

 会見で山田監督は、「戦前を知る身として、13歳で自宅が丸焼けになった空襲の体験を生かし、いつか撮りたいと願っていた。殊に、子どもを奪うような戦争を二度としないでほしいという願いは、多喜二の母だけでなく、すべての母親に通じる」と作品への思いを吐露。

 作品はもちろん、山田監督の映画への情熱と人間性に惚れ込んだという主演の寺島しのぶさん(母・セキ役)は、「世の中が移り変わっていく中で、ただ純粋に生き抜いた多喜二という人物を多くの人に知ってほしい。20代から80代までを演じるのは初の試みだが、監督にくいついていきたい」と抱負を述べた。

 セキの夫役を渡辺いっけいさん、多喜二役を塩谷瞬さんが演じるほか、多喜二の弟・三吾役を水石亜飛夢さん、セキが教会に通うきっかけとなった近藤牧師役を山口馬木也さん、宮本百合子役を霧のききょうさん、特高部長役を佐野史郎さんが演じる。

 山口さんは役作りの苦労について、「この家族を愛すれば愛するほど、神さまを信じられなくなってきている。もっと深いところで牧師という役をとらえなければならないと思っている最中」と率直に語った。

 山田監督は、原作について「女性には選挙権もなく、ただ男性の付属物のような生活の中で、『非国民の親』だの『国賊の親』などと罵声を聞きながら、じっと耐え、息子を信じ続けた母の物語です」と紹介している。

 映画は9月中旬にクランクインし、2017年1月に公開予定。現代ぷろだくしょんでは2016年中に完成させるため、製作協力券(1枚1千円で映画鑑賞できるチケット)の購入者及び、協力金の出資者を募集している。製作協力券100枚以上の購者、または協力金10万円以上の寄付者には、希望により映画のエンドクレジットで氏名、団体名を掲載するという。

 問い合わせは同社(℡03・5332・3991)担当・川野まで。代金は以下ゆうちょ振替払込口座00140-7-672706「三浦綾子原作『母』を映画にする会」まで。

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