平和追求した戸田帯刀神父に学ぶ 佐々木宏人氏がカトリック吉祥寺教会で講演 2016年9月17日

終戦3日後の1945年8月18日に射殺されたカトリック横浜教区長の戸田帯刀神父(1898~1945)。治安維持法の下、ものも言えぬ社会において平和を貫いた同神父の生き方を、信教の自由が脅かされる可能性が現実化してきた今学ぼうと、「平和のために生命をかける――戸田帯刀横浜教区長射殺事件を通して考える」と題した講演会が8月13日、カトリック吉祥寺教会(東京都武蔵野市)で行われた。(武蔵野南宣教協力体主催)。172人が参加。「カトリック平和旬間」の一環として開催された。

 登壇したのは、元毎日新聞記者でジャーナリストの佐々木宏人氏(カトリック荻窪教会会員)=写真。2010年から現在まで戸田神父射殺事件のノンフィクション小説を雑誌「福音と社会」(カトリック社会問題研究所)に連載している。

 同氏は、2012年の第二次安倍内閣発足後、安保法が成立し、憲法9条の改定が現実味を帯びてきたとし、「信教の自由を脅かす憲法改正がタイムスケジュールに乗り始めた今、戦前に平和を求めるために苦闘したカトリック神父がいたと知ることが、今後の状況の対処、道しるべになり得る」と、戸田神父射殺事件を取り上げる理由を説明。

 戸田神父が札幌教区長時代に、司祭仲間に戦局を憂う発言をしたことを軍部に密告され逮捕された時点から、横浜市の保土ケ谷教会内で何者かに頭部を撃たれて死亡するまでの流れと、当時の風潮を解説した。

 1956~57年頃、吉祥寺教会に「わたしが射殺犯です」と名乗る男性が現れたが、同教会が東京教区本部に相談したところ、本部は「赦しを与える」と伝え、男性は姿を消したという。事件は未解決のままだ。佐々木氏はこの処置について「いきさつをきちんと聞き、事実を明らかにすべきだった。国体教育を受けた神父たちの自己保身だったのでは」と語った。

 最後に大日本帝国憲法と自民党の日本国憲法改正草案に「信教の自由」を制限する表現の類似性があることを指摘。「平和」さえ禁句だった時代に、臆することなく平和を祈り続けた戸田神父の姿に、今後キリスト者としてどうあるべきかの答えがあると締めくくった。

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