世界で読まれる遠藤周作『沈黙』 刊行50年記念し長崎で国際シンポ、企画展も 2016年9月17日

 作家・遠藤周作(1923~1996)の没後20年にあたる今年は、その代表作『沈黙』(新潮社、1966年)の刊行から50年の節目でもある。これを記念した国際シンポジウムが8月20日、『沈黙』の舞台である長崎市で開催された(長崎市、遠藤周作学会主催)。全国から約300人が会場の長崎ブリックホール国際会議場を訪れた。

 特別講演では遠藤周作の長男・遠藤龍之介氏(フジテレビ専務取締役)が父親との思い出話を披露。

 遠藤の著作を多数翻訳している翻訳家のヴァン・C・ゲッセル氏(米ブリガム・ヤング大学教授)は、「『沈黙』と『SILENCE』――英語圏での解釈と評価について」と題して基調講演。『沈黙』を原作とし、近々公開予定のマーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙―サイレンス―』について、文学コンサルタントを務めた同氏は、『沈黙』英訳の難しさを語った。

 作家の加藤宗哉氏が司会を務めたパネルディスカッション「遠藤周作とわたし、そして〝長崎〟」では、作家の青来有一、歌手の松田美緒、遠藤研究者のユスチナ・カシャの3氏が意見を交わした=写真。

 前日の19日には長崎市遠藤周作文学館(長崎市東出津町)で、『沈黙』刊行50年記念大会が行われた(同文学館、遠藤周作学会共催)。金承哲氏(南山大学教授)ら6人の講師によるリレー講演に続いて行われた国際シンポジウムでは、ゲッセル、カシャ、李平春(遠藤研究者、翻訳家)、古橋昌尚(清泉女学院大学教授)の4氏がそれぞれ米国、ポーランド、韓国、日本での『沈黙』の読まれ方について報告した。

 長崎市遠藤周作文学館では、今年5月から2018年5月までの2年間、企画展「刊行から50年――遠藤周作『沈黙』と長崎」を開催している。直筆の草稿や『沈黙』の構想を記した日記、ノートなど全130点の展示資料を通して、『沈黙』の執筆過程や『沈黙』に込めた遠藤の思いなどを紹介している。開館時間は午前9時~午後5時。休館日は12月29日~1月3日。観覧料360円(一般)。問い合わせは同館(℡0959・37・6011)まで。

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