〝労組、農協、生協の連携強化を〟 「賀川豊彦の友愛精神」テーマに明学でシンポ 2016年11月19日

 「助け合いの心が日本社会を変える! 市民社会と賀川豊彦の友愛精神」をテーマに、「震災後の日本における宗教的ミニストリーの理論と実践・第2回シンポジウム」が10月29日、明治学院大学(東京都港区)で開催された。約110人が参加した。

 開催趣旨を説明したコーディネーターの稲垣久和氏(東京基督教大学大学院教授)は、協同組合運動を展開した賀川の「労働者は人格である」という言葉を引用。労働組合、農業協同組合、生活協同組合の3者の橋渡しをすることを目標に掲げ、連携強化を訴えた。

 続いて、逢見直人(日本労働組合総連合会事務局長)、比嘉政浩(全国農業協同組合中央会専務理事)、新井ちとせ(日本生活協同組合連合会副会長)の3氏=写真=が登壇し、各団体の賀川との関係、社会的課題への取り組みや震災支援について紹介した。

 ディスカッションでは、賀川精神の継承について問われた。逢見氏は、賀川の「友愛精神」が労働組合のベースにあると指摘。比嘉氏は、協同なくしては成り立たなかった農業のあり方が変わり、分化が進んだが、「農業で暮らしを立てることを共助・共益で行い、その延長で公益性が出てくる」ということがJA綱領のテーマにあると説明。新井氏は、「賀川の精神である『愛と協同』を大切にして活動を推進している仲間同士が手をつなぎ合うことで、さらに協同組合が強固なものとなる。そして地域社会の一員として頼られる存在になるのではないか」と期待を込め、賀川の言う「平和」を「普段の暮らしを守る」という意味で捉えたいと語った。

 コメンテーターの篠田徹氏(早稲田大学社会科学総合学術院教授)は、「賀川は『助け合う人生は楽しい』と言いたかったのではないか」と述べ、今後は「助け合い力」というスキルが必要だと主張。3団体はこのスキルの宝庫だと述べた。

 同シンポジウムは、昨年3月の第1回に続くもの。東京基督教大学共立基督教研究所、明治学院大学キリスト教研究所賀川豊彦研究プロジェクト、賀川豊彦記念松沢資料館が共催した。

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