「終末」希望に現実問題に関わる 長谷部弘氏が「非戦と平和形成」語る 2017年2月25日

 「非戦と平和形成――キリスト教信仰と社会科学の間で」と題し、経済学者の長谷部弘氏(東北大学教授、日本キリスト改革派仙台教会長老)が2月11日、日本福音キリスト教会連合(JECA)キリスト教朝顔教会(東京都世田谷区)で講演した。JECAの関東全4地区と信教の自由委員会が共催した2・11集会での講演。約120人が参加した。

 同氏は『公共圏に挑戦する宗教』(ユルゲン・ハーバーマス他著、岩波書店)などを参考文献として示しながら、「社会のさまざまな分野から宗教的な価値観や用語が退いている」とし、それを「公共圏」という言葉で説明。「世俗化された社会における市民としての行動様式を前提としてわたしたちは国家を運営してきた」と述べ、そこに宗教が挑戦する意味を考察した。

 昨年神社本庁によって憲法改正の署名運動が行われたことに触れ、その目指すところは「国全体を神社神道で再編成するための憲法改正」にあるとし、「同時に、国外に対して軍事力を行使しながら紛争を解決することもできる国家体制をもう一度作ること」だと解説。「公共圏に挑戦する宗教」とは日本ではこのようなことを意味していると論じた。

 また、内村鑑三が主張した「非戦論」に注目。「非戦論」は「平和論」の系譜にあり、「平和」は思想史的にキリスト教に源泉があるとし、「キリスト教と平和運動、反戦運動、内村の唱える非戦運動は同根」と主張した。

 その上で「平和論」をキリスト教信仰と結び付けて考察。キリスト者が平和論を論じる際に「終末論的視点」が欠かせないとし、終末を究極的な希望として現実世界の問題に関わっていくことを提唱。「平和とは戦争のない状況ではない。キリスト教的な平和の基準とは、戦争に限らず、困窮、暴力、不自由さの問題を基準にしながら、社会を制度的に改良していくこと。これがわたしたちの平和主義的な政治に対する関わり方ではないか」と訴えた。

 同集会は今年で25回目。長谷部氏が日本キリスト改革派教会の大会などで「日本の政治状況と教会」をテーマに講演していることから、今回講師として招聘した。

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