キリスト教なしに人権思想あり得ず 森島豊氏が日基教団西東京教区集会で講演 2017年2月25日

 日基教団西東京教区社会部委員会(坂下道郎委員長)主催の「信教の自由を守る日」集会が2月11日、西荻教会(東京都杉並区)で開催され、青山学院大学准教授の森島豊氏が「人権と信仰の危機」と題して講演した。約80人が参加した。

 森島氏は、「日本のキリスト教界の使命は、戦後最大の危機に直面している」とした上で、人権の保証について書かれている憲法第97条が自民党の「日本国憲法改正草案」では全文削除されていることを指摘。「為政者の思惑があるのではないか」と述べた。

 その上で、「人権思想はキリスト教なくしてはあり得ない」とし、その成り立ちを歴史的に紐解いた。まず聖書の創世記の中で、神が人を「存在することを喜ばれるものとして造られた」と物語られていることを挙げ、その「キリスト教的人間観」が中世ヨーロッパでカルヴァンが「抵抗権」を主張する下地となったと説明。この抵抗権の思想は、宗教弾圧を受けていた清教徒(ピューリタン)の「信教の自由を守る」運動と人権の法制化につながり、アメリカ独立宣言で初めて法整備されたことを解説した。

 日本に入ってきたこれらの思想が、「潜在的」であって「本流」になれなかった理由として、キリスト者を危険視した各時代の為政者が抵抗権の確立を阻むためであったことを紹介。豊臣秀吉に棄教を迫られながらも抵抗した高山右近の例などを挙げながら述べた。

 さらに日本国憲法成立の過程に言及。草案作成者である鈴木安蔵が、明治の思想家である植木枝盛が作成した「抵抗権」を盛り込んだ憲法草案を参考にしていたことを解説し、日本国憲法にキリスト教の人権思想が反映された経緯を示した。

 これらを踏まえ、日本の人権形成には弱点があるとし、その理由を「抵抗権が憲法上で明文化されておらず、無宗教化した中で抵抗権の思想的根拠がなくなっている」からだと説明。「抵抗や人権に深く関与してきたキリスト教を広める福音伝道を、ますます行っていかなくてはならない」と結んだ。

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