「宗教の背景や目的見失わないで」 宗教連盟70周年シンポに企業とNPOから講師 2017年3月11日

 日本宗教連盟(東京都港区、植松誠理事長=日本聖公会主座主教)は、昨年6月に創立70周年を迎えたことを記念して2月18日、「宗教を現代に問う」と題したシンポジウムを日本聖公会聖アンデレ教会(東京都港区)で開催した。85人が参加した。

 講師として招かれたのは向井眞一氏(内田洋行顧問)と、吉岡秀人氏(ジャパンハート代表)。内田洋行は空間デザイン、オフィス家具、ITシステム構築などを手掛けている企業。ジャパンハートは無報酬でミャンマーの貧しい人々の治療を行っているNPO法人。外側からの視点を得るために、宗教に特化しない両氏が招かれた。

 まず向井氏が「企業改革実践を通して感じた組織と人の在り方」と題し講演。同氏は、会社が成長するためにはリストラではなく人を認め育てることが肝要とし、そのためには「『人を育てる人』を育てる」必要があると訴えた。

 続いて吉岡氏が「私たちの中に折りたたまれる日本の心――国際医療NGOジャパンハートの挑戦」と題し講演。「ミャンマーで年間2千件以上の治療をするが、医療とは命を助けるだけがすべてではなく、患者の人生の質を少しでも上げることが医療の役割だと気付いた」と語った。

 最後に司会の石井研士氏(同連盟理事、國學院大學副学長)を交えた鼎談が行われた。宗教団体への提言を求められると向井氏は「時代は宗教を求めている。それを育む寺や教会などの空間が魅力あるものになるよう頼りにしている」とコメント。吉岡氏は「その宗教は誰のためにあり、存続させるべきなのかを信徒たちが共有することが必要」とした上で、「どの宗教も生み出された背景や理由がある。宗教は形だけ引継ぐと、時間が経つほど駄目になるので、開祖の教えを理解しようと努力し、開祖がその宗教を広めようとした目的を見失ってはいけない」と意見した。

 同連盟は、教派神道連合会、日本キリスト教連合会、全日本仏教会、神社本庁、新日本宗教団体連合会の5団体で構成される。

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