日基教団〝持続可能社会の実現を〟 国際青年会議で小原克博氏や「おしどり」も 2017年4月15日

 「エネルギー持続可能社会の実現を目指して」をテーマに掲げた日基教団主催の「国際青年会議IN京都」が3月28日、同志社大学(京都市上京区)で開幕した。2014年3月に同教団主催で開かれた「東日本大震災国際会議」の主旨と、「若い世代の人々がこの問題を担い、リーダーシップを発揮できるよう教育と訓練に努めます。また、わたしたちの教会が活発な議論を通して変革の担い手となり、この問題の重要さを社会の多くの人が認識するよう努めます」とする決意宣言を受け継ぐもの。

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 「エネルギー飽食の時代におけるオルタナティブ――持続可能な社会と大地の安息のために」と題して基調講演を行ったのは、小原克博氏(同志社大学神学部教授)=写真右上。

 まず「共食」よりも「個食」の時代に、イエスの食卓が投げかける課題として、すべての人に開かれた食卓の重要性、共に生活することへの気づきを促した。続いて、人間中心主義を相対化する道を探究すべく「エデンの園」をひも解き、「できるとしてもやってはならないことがある」と原子力問題に言及。また「ノアの大洪水」から、神が大地と契約したことを指摘し、人間以外のもの、将来世代への配慮を求めた。

 さらに「創造されたものがどのように終わるのか」を考えない経済成長至上主義による原子力利用に警鐘を鳴らした上で、「聖書は人間中心の視点だけでは読めない」とし、人間と被造物にとって「安息」が神に向かうために必要であると語った。

 「キリスト者は『地の塩』であり、それは寿司のワサビのように、微量でも全体を活かす働きである」と語る小原氏。最後に、ローマ教皇回勅「ラウダート・シ」から、「エコロジカルな回心」や社会的弱者への関心がキリスト教だけでなく世界的に共有すべき課題であり、ポストモダン以降の時代において、イエスの譬えと聖書のコスモロジー(宇宙論)を「大きな物語」として生きることを参加者に勧めた。

 吉本クリエイティブ・エージェンシーに所属するお笑い芸人で漫才コンビ「おしどり」の2人(マコ&ケン=写真上)も登壇。さまざまな観点から賛否両論あるが、原発事故に関する取材と発信で注目を集めたことから、今回の会議に招かれた。

 2人は東京での再出発を決め、引っ越した後、東日本大震災を経験。大手報道各社が、血相を変えて東京を離れる人々を報道しなかったことや、東京電力の記者会見において質問が当たらない記者の存在に疑問を持ち、自ら調べようと500回以上、記者会見に出席した。人事異動のない仕事(芸人夫婦)だからこそ定点観測ができ、今では会見担当者よりも詳しいという。

 どの大手報道機関よりも早く、福島の「県民健康調査」検討委員会を取材した。子どもの甲状腺がん増加の可能性、農家を営む人々の日常的な被ばく、汚染土壌の全国的な公園での再利用、国際原子力機関と関連学会の問題を発信してきた。取材中、知己を得た人々が、良心の呵責と過労で自死する場面に何度も出会った。

 ついには公安調査庁にマークされ、お笑いライブで「公調割引」など対抗はしたが、逮捕直前と周囲から忠告された。直後、被災者と共にローマ教皇に出した手紙の返信が届き、外交問題になりかねないからか、結局、逮捕はされなかったという。

 質疑応答では、福島県からの参加者の問いかけに「絶望的な状況であっても、丁寧に生きること、生き抜くことが大事」と応じ、小学生の質問に答えて「どんな分野でも、本の背表紙の幅で5mは読むように」と答えた。

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