「教会と政治」フォーラムが発足 国家や政治の課題を神学的に研究しよう 2017年4月22日

 「国家や政治の課題を神学的に研究すること」は、今日の日本の教会にとって避けることのできない課題であるとして、この意識を共有する有志を中心に研究や討論を重ねていきたいと、山口陽一氏(東京基督教大学教授=写真)を座長とする「教会と政治」フォーラム(事務局=単立・東京めぐみ教会)が3月31日に立ち上げられた。同日お茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で行われた発会式には40人が参加。「日本における教会と政治――ラフスケッチ」と題して山口氏が記念講演を行った。

 同フォーラムは、「日本における国家や政治と教会の関わりを、聖書と神学の視点から研究する」「現在の日本の状況を踏まえ、教会がこの時代に担うべき神学的課題として整理する」「整理された神学的課題を広く一般に提供する」ことを目的とする。

 「特定秘密保護法に反対する牧師の会」の関係者が中心となって立ち上げたもの。現在休眠状態にある同会はこれまで「運動体」として活動してきたが、このたびのフォーラムは「学ぶ」ことに主眼が置かれている。同会共同代表の朝岡勝(日本同盟基督教団徳丸町キリスト教会牧師)、安海和宣(東京めぐみ教会牧師)の両氏を含む6人が世話人となり、呼び掛け人として現在9人が名を連ねている。

 記念講演の中で山口氏は、聖書学者の松木治三郎や渡辺善太など、戦後の教会が政治との関係を聖書から学び直した例を紹介し、「この時代に考えられた『教会と政治』は、その後の教会の中にも生き続けている。これをしっかりと捉え直すことが必要ではないか」と問い掛けた。

 特に渡辺が『教会と政治』(キリスト新聞社、1970年)の中で、「福音宣教のみをその使命とする教会」と「社会派の教会」に日本の教会が二分しているとし、「第三の立場」として「教会の行動と教会員の行動とを区別すべき」という隅谷三喜男の言葉を紹介していることに言及。「今日この課題を考えていく上でも、教会がなすべきことと、教会に連なる信徒が市民としてなすべきことは区別されるべき」としつつ、「だから教会は一切それ(政治)に関わらないということではなく、教会が考えるべきことは何かが一つの課題」と強調。中でも「神の言葉の説教が、政治のことをどのように取り扱うのか、非常に大事な課題となる」と語った。

 そして、「教会は、政治の領域を尊重しこれに従う。政治の責任を担う人を愛し、その救いと職務遂行のために祈る。立憲民主主義の日本においては、主権者としての責任を果たすべく政治に関わる」とした上で、「憲法違反は『上に立つ権威』のあるべき姿からの逸脱であり、憲法を尊重せず擁護しない政権は選挙によって退けるのは当たり前のこと」と指摘。「神の国の福音、和解の福音の視点を持って社会正義の実現を図る」とし、「日本会議や神道政治連盟が目指す明治憲法体制の復元は、国家的な偶像礼拝につながりかねない。これを許さないことは、キリスト者の市民としての役割であるだけでなく、日本の教会の大きな役割」だと訴えた。

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 続くディスカッションでは、参加した教職や信徒が意見を交わした。その1人、平野克己氏(日基教団代田教会牧師)は、「大衆が政治の動きにくっついていっている。しかも教会員も飲み込まれそうになっている」と危機感を示し、説教のあり方を問題視した。

 「今でも90%が、個人の魂の救いの説教をしている。キリスト者としてこの世をどう生きるかという説教は皆無に等しい」と指摘。「教会の政治がこの世の政治と闘ってきた例があると思う」として教会生活史の研究に関心を寄せた。「『国と力と栄とは、限りなく汝のものなればなり』と父なる神に祈っている者は『君が代』を素直には歌えないはず。そのような『神の国』の政治がプロテスタント教会の中に根を張っていないのだろうか」と問い掛けた。

 山口氏はその意見に賛同し、「『教会が政治や国家に屈する』という言い方をした時、多くの場合国家権力ではなく大衆に屈している」と指摘。「生活のレベルまで国が入り込み、それが当たり前になってしまっているが、教会の生活や日常が必ずそこにはある」として、それを強固にすることが教会の課題だと主張。「日常の『神の国』をどのように生きていくか。そのことが当たり前のこととして抵抗を生んでいくようになるべき」と応答した。

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 同フォーラムは当面、2カ月に1回勉強会を開催していく。初回は5月26日。発題者は朝岡勝氏。会場はお茶の水クリスチャンセンター。詳細は同フォーラムのブログ(http://churchandpoliticsforum.blogspot.jp/)、またはフェイスブック(https://www.facebook.com/churchandpoliticsforum/)を参照。

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