信仰に基づく教育をケニアの子に 日本人宣教師がコミュニティーセンター計画 2017年5月6日

 アフリカのケニア・ナイロビ市内のスラムに住む子どもたちを対象とした学校である「コイノニア教育センター」(現地責任者=市橋隆雄、さら夫妻)は、ナイロビから約70㌔離れたナクル県マイマヒウに学校施設やチャペル、診療所、職業訓練学校などを併設したコミュニティーセンター=写真(イメージ)=を5年計画で建設する。来年からの建設開始に向けて現在支援を募っている。

 1988年に単立・品川キリスト教会(東京都品川区)の宣教師としてナイロビに渡った市橋夫妻は、ケニアの内側から自分たちのコミュニティを変革する人を育てたいと、「サーバント・リーダー(人々に仕えるリーダー)を育てる」ことを使命に、97年にキューナ幼稚園とキューナ教会を設立した。

 コイノニア教育センターは、スラムの子どもたちにキリスト教信仰に基づいた学校教育の機会を提供しようと、2003年にナイロビ・キバガレスラムに隣接する一軒家を借りて幼稚園として開園したもので、05年からは小学校を開設。11年には住宅費の高騰によりキバガレより25㌔離れたレッドヒルに移転した。昨年2月、マイマヒウに土地を購入。9月にはケニア政府よりNGOとして認可された。現在は13人の常勤教師がおり、幼稚園から日本の中高にあたるセカンダリースクールまで80人の生徒を抱えている。

 マイマヒウは、東アフリカを南北に縦断する大地溝帯の谷に広がる平原で、30年に向けて政府開発予定地域に指定されている。新センターの建設予定地(250㍍×125㍍)に、現在の幼稚園からセカンダリースクールまでの学校を移転し、奨学金を受けて学ぶ貧困家庭の子どもだけでなく、月謝を払える家庭の子どもも新たに受け入れる。

 また、プールや陸上競技場などのスポーツ施設、図書館を併設し、地域の人々にも開放。小児専門の診療所も開設し、母子健康教育プログラムを立ち上げる。識字教育、環境教育プログラムを実施し、日本の技術を取り入れ、ケニア社会で活用できる技術を学ぶ専門学校も開設する予定だ。

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 ケニアでは現在人口が増加し、教育産業が発展している。さらさんは、「ケニアの学校教育は主要科目以外にも、運動、音楽、美術、家庭科、技術などが入っているが、ほとんどの学校でそれを教えていない」と指摘する。ケニアは小学校が8年制、セカンダリースクールが4年制で、それぞれの終わりに全国共通試験があり、就職などの際にその証明書が必要となる。そのため試験科目である英語、スワヒリ語、理科、社会、算数、宗教の6科目が重視される傾向にあるという。

 スラムで生まれ育った子どもを受け入れているコイノニア教育センターでは、およそ3分の1の子どもが学習障がいを持っており、専門的な訓練を受けた教師が教育を行っている。「神さまは一人ひとりに特別なものをくださっている。水泳が得意な子もいれば走ることが得意な子もいる。子どもたちが少なくとも学校生活では自分が落ちこぼれだとは思わず、居場所があり、認められていると感じることが大切」。子どもが得意なものを見つけられるよう、センターでは幼稚園から小学校まで、空手や賛美、美術、「ピースチャイルド」というミュージカルなど、すべてのプログラムを必修としている。

 「コイノニア」とは初代教会の交わりを意味するギリシア語。「英語では『コミュニティ』だが、聖書の中での意味は、集まる人が皆、自分の持っている何かを差し出してシェアして、コミュニティが豊かになるということ。与えられる立場にある子どもたちでも与えるものがあるはず」とさらさんは話す。

 「スラムの人々を本当に助けたければ、その日の食べ物を援助しても意味がない。生き方を変え、信仰を持ちつつ、自分に与えられたものを使っていく人を幼い時から育てていかなければいけない」

 新センターの建設資金を得るため、今年は募金活動に専念するという。第一期工事は幼稚園からセカンダリースクールまでの校舎と生徒の寮を含めて約1億5千万円の費用が必要となる。まずは井戸掘りなど、水の確保から始める。

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 日本での支援窓口は、NPO「ケニア・コイノニア友の会ジャパン」(大井満代表)。募金は郵便振替(00110-3-291395)、三菱東京UFJ銀行(店番895、普通、0117029)で受け付けている。問い合わせは同会(℡03・3961・9685)まで。

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