寺社フェス「向源」に牧師も参加 〝仏教でも同じテーマ追う僧侶が〟 2017年5月27日

 日本の伝統文化を体験できる寺社フェスティバル「向源」が、昨年に引き続き5月6日、7日の両日、都内五つのお寺で開催された(同実行委員会主催)。主会場の正覚寺境内では、恒例の声明公演や仏教実践講座、朱印状作りや石彫、死の体験旅行といったワークショップ、茶道や香道、落語など多岐にわたる企画が催された。今回は「お坊さんと話そう」のコーナーに「牧師さんと話そう」も新設され、終日、来場者が宗教者と話し込む姿が見られた。

 昨年、複数の教会を巻き込んだ地域密着型の催し「代官山ノエル」での出会いから、向源のスタッフとして準備会にも参加した伊藤大輔さん(日本基督教団本多記念教会牧師)=写真前列中央=は、「牧師さんと語ろう」にも出演した。

 「『宗教の言葉は敵を味方に変える。それ以外の言葉はビジネスだ』とガンジーは言ったそうです。宗教が社会に発する言葉は何か。優劣を訴えるのではなく、世界は等しく平安の内におかれていると告げる言葉なのではないでしょうか。『代官山ノエル』でわたしたちが取り組んだテーマを、仏教でも追いかけている方々がいることを知ることができ、感謝しています」

 向源は若手僧侶中心のイベントだが、プレゼンテーションの重心はあくまで日本文化全般にある。向源代表の友光雅臣さん(常行寺副住職)は寺の生まれではなく、僧侶となった後もDJとしてクラブに立つ。実は今年、日本橋の商業区展開へ結実した過去の拡大路線から舵を大きく切った。友光さんによれば、2020年の東京オリンピック時の訪日外国人に照準を置くという姿勢は変わらないという。

 現代の消費文明を浴びて育った若手の僧侶たちが日本文化の体現者たる自覚のもと振る舞うことを選びとる力みなさや、勢い余ったら手綱を締め直す潔さには今後を期待させるものがある。こうした事情は、仏教寺院からキリスト教会に場を変えてもそう隔たりはしない。

 秋には京都開催を控え、それが終わればすぐにも向源2018の準備が始まる。

(ライター 藤本徹)

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