抵抗権を思想とする精神鍛えよ 渡辺信夫氏が長老教会社会委の学習会で講演 2017年5月27日

 「信仰に基づく抵抗権」と題して、日本キリスト教会教師の渡辺信夫氏=写真=が5月6日、日本長老教会社会委員会(星出卓也委員長)主催のヤスクニ学習会で講演した。会場のお茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)に約65人が集った。

 1923年に大阪で生まれ、戦時下に学徒出陣で海軍兵士として出征した経験を持つ渡辺氏。49年から伝道者として歩み、58~2011年まで東京告白教会牧師として奉仕。カルヴァンの『キリスト教綱要』を翻訳した。昨年2月には『信仰にもとづく抵抗権』(いのちのことば社)を出版した。

 渡辺氏は、自分で考えることができるように鍛えなければ、考えることは成り立たないとし、「抵抗権」を考えるためには自分がどのように生きるかを考える必要があると指摘。「抵抗権」は思想であり、その思想と、思想していく精神を鍛えなければならないと訴えた。

 渡辺氏が「抵抗権」について考え始めたのは、73年前の学徒出陣の時。他人が嫌がることを引き受けようと、犠牲者が出る率の高い海軍の予備学生となったが、自己犠牲を選ぶことは立派なことではなく不信仰だと気付いたという。「祖国のために命を捨てることは意味がない。ただ殺されるだけ」

 戦後、カルヴァンの研究を本格的に始め、「抵抗権」について考え続けてきた。「我々はキリスト教信仰を与えられている者として、抵抗権を人間の基本的な人権だと理解する道を持っている。他の人々をリードし、その人たちに奉仕する精神で、抵抗権の思想を日本に広めなければならない」と主張。「日本の政府を正当な政府に作り変えるということを、もっと大声で言わなければならない。クリスチャンの声があまり高くなっていないことの責任を考えたい」と話した。

 他教派や市民団体との協力に個々の教会が消極的だという参加者からの意見に対しては、「日本の多くの教会は教派の中では固まるが、他の教派となると、志は同じであってもあまり一緒には活動しない。これは間違っていると思う」と主張。研究の共有によって個々の教派が活気を持つことになると述べた。

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