「人間解放」に向けて行動起こそう 「宗教者と市民による学習会」に関田寛雄氏 2017年6月3日

 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が5月23日の衆院本会議で可決された。それに先立つ16日、「戦争法と共謀罪――この道はいつか来た道…」と題して、関田寛雄氏(日基教団神奈川教区巡回教師、青山学院大学名誉教授=写真)がさいたま市民会館うらわ(さいたま市浦和区)で講演した。「埼玉宗教者・市民懇談会」主催の「宗教者と市民による学習会」として行われたもので、50人が集まった。

 1928年に牧師の子として生まれた関田氏。戦時中、天皇制を批判すれば治安維持法違反になったとし、警察権力の恐ろしさを強調。思想を裁く法律として治安維持法につながっていくのが「共謀罪」だと警鐘を鳴らした。

 また、現行憲法に巡り合った時、特に前文に「心が震えるような感動を覚えた」と話し、9条は日本の誇りだと主張。安倍晋三首相が9条に自衛隊の存在を明記しようとしていることについて、「思想的に憲法前文を裏切ることになる。許してはならない」と訴えた。

 宗教と国家の関係については、旧約聖書の預言者サムエルに触れ、宗教者にとって国家は必要悪であり、権力の暴発を防ぐのが預言者であるとして、現代における預言者の役割は憲法だと指摘。憲法前文にふさわしい国家が目指される限り宗教は協力するが、差別、圧迫、排除などが行われるならば、宗教者は批判しなければならず、そこに宗教の使命があると述べた。

 そして、テロの温床である貧困と差別をなくすことが宗教者の責任だと主張。貧困と差別がある限り憎悪が生まれ、テロが始まるとし、「分配の経済学」を展開すべく政治を促すよう求めた。

 「キリスト教界の中で政治問題を避ける傾向があるように感じる」との参加者からの意見に対しては、「自分さえよければよい、という考え方が大半を占めているのではないか」と述べ、宗教者の指導性を根本から考え直すことを提言。「人間解放」に向かってアクションを起こし、小さな事実を積み重ねていくことが大事だと述べた。

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