平和訴える武田美通氏の造形作品 恵泉女学園が全作品を保管する協定締結 2017年6月17日

 恵泉女学園「花と平和のミュージアム」(東京都多摩市、中山洋司館長=同学園長)は、造形作家の武田美通氏(1935~2016)の全30作品を保管する協定を「武田美通・鉄の造形〝戦死者からのメッセージ〟を広める会」(埼玉県蕨市、大橋邦夫会長=東京大学名誉教授)と締結した。5月27日、恵泉女学園大学で締結式が行われ、中山氏と大橋氏、同会事務局長の仲内節子氏が出席した。

 武田氏の作品は鉄を切断し溶接した技法で、ピンを抜いた手榴弾を持つ母子像=写真=や、戦線で倒れ自決する日本兵などを表現。戦争の不条理さ、命の尊さを訴えている。

 これまで武田氏の全作品を保管してきた同会は、反戦を貫いた写真家・福島菊次郎氏(1921~2015)の作品を同ミュージアムが多数保管していることを知り、「武田氏の作品は他に例を見ないほど力強く平和を訴えるものなので、多くの方々に鑑賞していただきたい」と、同学園平和文化研究所に作品の保管を依頼。これを受けた同研究所は、武田氏の造形作品から戦争の理不尽さ、平和の大切さ、日本国家の無責任さをリアルに想像できる機会を作れればと、今回の協定に至った。

 多摩地域の小学生~高校生を対象とした平和学習の授業や、学校への作品の貸し出しを通して、地域の教育機関に平和を考える機会を提供したいとしている。

 同大学では27日から6月7日にかけて、「戦死者たちからのメッセージ」と題し武田氏の全30作品を展示。初日には全国から350人が来場した。来場者からは「絶対戦争を繰り返してはいけないというメッセージを強く感じた」といった感想が寄せられた。

 また27日には、杉田明宏氏(大東文化大学教授)による「時代を問う〈鉄の造形〉たち」と題した講演会と、「戦ふ兵隊」(亀井文夫監督、1939年)の上映会も開催され、120人が参加した。

 武田美通(たけだ・よしとう)=早稲田大学卒。日本経済新聞記者を経てテレビ東京勤務。少年期からのテーマ「戦争とは、国家とは、軍隊とは」をもとに、自衛隊や米海兵隊の取材に力を入れた。2003年から造形作家に転身、鉄を素材にした作品制作に取り組んだ。

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