エジプト 教会爆破テロ受け一致へ 教皇や各首長会談で追悼式典、共同宣言 2017年5月20日

 教会を狙った自爆テロに、エジプト全土が震撼している。タンタの聖ゲオルギオス教会、アレクサンドリアの聖マルコ教会で4月9日、相次いで爆発が起き、過激派組織「イスラム国」(IS)は190人の死傷者を出した自爆テロとして犯行声明を発表した。これらを受け、ローマ教皇フランシスコ、コンスタンティノープル全地総主教ヴァルソロメオス1世(東方正教会)、アレクサンドリアと全アフリカの教皇および総主教テオドロス2世(東方正教会)、コプト典礼カトリック教会総主教イブラヒーム、アンティオキア・全東方・アレクサンドリア・エルサレム総主教グレゴリオス3世ラハーム(メルキト・ギリシア典礼カトリック教会)らが4月28日、エジプトを訪問。カイロの聖ペトロ・聖パウロ教会で、教皇タワドロス2世(コプト正教会首長)が、聖公会エルサレム・中東管区大主教ムニール・アニス、エジプト・プロテスタント共同体長兼コプト福音社会福祉機構代表アンドレア・ザキと共にこれを迎えた。

 昨年12月にカイロの教会で起きた自爆テロで、礼拝中に殺害された犠牲者と、今回の自爆テロ事件のために大規模な追悼式典を開催。

 古代五大総主教座の系譜を引く教会首長のうちの多く、およびエジプト・中東のプロテスタント諸教会の代表のうちの2人が一堂に会した。テロ攻撃とそれを行う組織に対し、これらの諸教会が結束して戦う決意の表明ともとれる。

 教会を狙ったテロは今回だけではない。2011年、革命前夜の元日にもアレクサンドリアの二聖人教会が標的となった。以来、しばらくはコプト正教会に対する大規模なテロ攻撃はなかった。

 しかし、昨年12月11日、聖ペトロ・聖パウロ教会のテロでは約30人、今回のテロでは45人が犠牲となった。2015年2月には、リビアでISによる約20人のコプト・キリスト教徒の斬首が確認された。教会は、過激派によって殺害された人々を殉教者として認定した。

 エジプトでは賃金格差や就職難などの社会不安と悪化する経済事情から、宗教を問わず他国へ移民する人々が後を絶たない。加えて、教会建築に関する規制など差別問題もあり、多数の信徒が出国している。

 今回の爆破テロは、コプト正教会が、ローマ・カトリック教会、東方正教会だけでなく、東方諸教会やプロテスタント諸派との、より深いエキュメニカルな連携へと踏み出すきっかけであり、平和のために教会内部の一致団結を促進するものとなり得る。

 エジプト訪問中にローマ教皇フランシスコはコプト正教会の教皇タワドロス2世と相互の洗礼を認める共同宣言に署名。また厳戒態勢の中、第5回を数える東西宗教指導者会議に出席し、アル・アズハル大学の前学長であり大イマームのアフマド・エル=タイエブ氏と会談した。

 テロ撲滅を掲げるシーシー政権、エジプト人ムスリムの大多数、またスンニ派の最高権威であるアズハル学院も、教会や一般市民を狙った過激派のテロに非難の声を上げている。

 ドイツ在住のコプト語文献学者・言語学者である宮川創氏(ゲッティンゲン大学研究員)はこう話す。「コプト正教会は最も古い伝統を持つキリスト教会の一つです。使徒時代から連綿と受け継がれてきた信仰だけでなく、古代エジプト語の歴史的最終段階であるコプト語と王朝時代の音楽的影響下にあるコプト聖歌を用いた独自の典礼など、特有の文化を保持しています。この悲惨なテロ事件の中でもわたしの周囲のコプト・キリスト教徒たちは、殉教者を尊び信仰を守り通す、固い決意を語っています」

(宮川創、波勢邦生/取材協力=三代川寛子、戸田聡、武藤慎一/写真提供=ユハンナ・ウェフキ司祭)

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