学生に寄り添い続けて70年 「遣わされた地」で教会の〝礎〟に 2017年7月1日

キリスト者学生会(KGK)11月に記念大会

 今年70周年を迎える学生伝道団体「キリスト者学生会」(KGK) 。すでに各地で「プレ大会」が行われ、11月の 記念大会に向けて着々と準備が進められている。 実は「キリスト新聞」に匹敵するほど長い歴史を持ちながら、いまだ日本基督教団をはじめとする「主流派」における認知度はそれほど高くないという。その背景にある「福音派」の歴史とこれからの展望について、総主事の大嶋重徳さんに話を聞いた。

 KGKは、海外の宣教師によって立てられた団体ではなく、 学生たちの主体的な信仰の表明によって始められた。「キリスト新聞」創刊翌年の1947年。日曜日に授業をするという大学の意向に異を唱えた早稲田の学生が、これに反対する署名を呼び掛けた。

 結果的に日曜授業が敢行される中、キリスト者の学生たちが大学内で礼拝を守ったのがKGKの始まりである。やがて学生主体で友人に伝道しようと小さな聖書研究会に発展し、 後に卒業生の仲間から専任スタッフである主事を擁立することとなった。

 主事は各大学を訪問し、聖書研究の援助やリーダーへの支援、地域(ブロック)ごとの祈祷会やキャンプ運営のサポートなどを担う。伝道の主体はあくまで学生で、主事は「同労者」として彼らに寄り添い、その持ち味を生かすというのがKGKの伝統。カリスマのある主事がイニシアティブをとる活動だったら、おそらく70年も続かなかった。

 

「ダサいし地味なのが持ち味」

 「ダサいし地味なのがKGKの持ち味」だと大嶋さん。しかし卒業生は教会の役員など、交わりの中で主体的に支える筋トレ(筋力トレーニング)ができているという。「KGKに入ると教会での奉仕が疎かになるという批判があったこともありますが、息の長い、骨の太いキリスト者が育てられ、教会を建て上げていくのが使命。長老、 執事、教会役員として主体的に教会を支える卒業生も少なくありません。主事も学生の愚痴は聞きますが、『教会に行かなくてもいい』と言うことは決してありません」

 現在、北海道から沖縄まで9地区34人の主事が 1300人余の学生を対象に約200 校で活動している。大学が複数県にまたがるため、月間3000㌔を超える走行距離も珍しくはない。学生相手だけに、遠路はるばる出かけて行っても急きょキャンセルということもしばしば。しかも数年で学生は卒業していく。教会の牧師からも「しょせん超教派」という見られ方 をすることがある。

 戦後、学生は限られたエリートだった。当時は聖書講解が最も効果的な学生向けの伝道方法 とされ、「福音派」のオピニオンリーダーとして KGKが独自に注解書を発行し、週刊紙「週刊キリスト者」を手掛けていたこともある。やがて大衆化の時代に入り、帰納法的な聖書の読み方、グルー プ研究が主流になっていく。かつての先達からすれば隔世の感。しかし、「アイデンティティ」「性」 「進路」など、学生はいつの時代も同じテーマで悩んできた。悩み方は変わったが、今も変わらない〝礎の言葉〟は「遣わされた地で福音に生きる」。

 かつては、日本基督教団を含む「主流派」から「しょせん『福音派』の集まり」「学生は教会を混乱させる」という見られ方も根強くあった。1986 年卒業の原田彰久さん(日本基督教団宮崎清水町教会牧師)は、そんな偏見にさらされていた時代を知る1人。日本基督教団内の「ホーリネスの群」の教会で洗礼を受け、「福音派」の教会に通いながらKGKで信仰を育まれたと振り返る。東京神学大学に入学後も聖書の「十全霊感論」を大切にしつつ牧師となる。

 おかげで、それぞれの特徴を肌身で感じることができた。「聖書の霊感について『主流派』と『福音派』の違いはあるが、むしろ伝道への熱意と福音理解で多くの共通点を見出した。『福音派』の弱点は教会論だが、日本基督教団は個人の信仰をどう養うかという点が弱い。

 卒業生として、KGKへの期待と裏腹に危惧も抱く。伝道よりも内輪の楽しみ、信仰基準や福音理解よりも「恵まれているか」「盛り上がっているか」が優先されていないか。

 「学生伝道団体ですから、伝えるべき福音理解が大事で、『ワーシップ楽しいね』で終わってはいけません。また自分の学びと信仰生活の関わりを問うてほしい。昔から『福音派は非理性的』という批判もありましたが、福音の伝統的で明確な理解とそれを日々の歩みに活かす志が与えられ感謝しています。KGKには『福音派』の良い面を恥じることなく継承 してほしいと思います」

 今日、約4000の大学、短大、専門学校に通う学生数は330万人。彼らに福音を届けるために は、さらに多くの主事を育成することが必要だ。11月の記念大会に向けた目標は、「全地区に複数の主事を」「専任の卒業生会担当主事を」などの願いを達成するため、2500万円の募金を達成すること。

 目下、記念大会の準備に奔走する大嶋さん。「今度の記念大会は、草創期を背負ってこられた方から現在の学生に至るまでが一堂に出会える最後のチャンスかもしれません。KGKが失ってはならないスピリットを直接、先輩たちとの交わりから受け継ぎたいと思います」

キリスト者学生会ホームページ http://www.kgkjapan.net/

KGK70周年記念大会ホームページ http://allkgk70.wixsite.com/ishizue

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