世界は「宗教改革」をいかに記念するのか 「ルター都市」ヴィッテンベルクでも共同礼拝  2017年7月11日

 宗教改革から500年—。国内でもマルティン・ルター(1483~1546)を模した人形が注目を集め、シンポジウムや講演会など、さまざまな記念行事が催される中、海外の教会ではどのように受け止められているのだろう。「現地」からの報告を掲載する。

異文化・他宗教理解に主眼おいた部会も
ドイツ福音主義教会主催の信徒総大会 

 5月24日から28日にかけて、ドイツ福音主義教会が主催する信徒総大会「キルヘンターク」が、ドイツの首都ベルリンと「ルター都市」の名を冠するヴィッテンベルクで開催された。同大会は隔年で開かれ、性別・年齢・宗教・出自を問わず毎回10万人が集う一大イベントである。最終日、ヴィッテンベルクで行われた共同礼拝には約12万人が参加した。

 今大会のテーマには「あなたこそわたしを顧みられる神」(創世記16・13)が掲げられた。アブラハムのもとから逃げた女奴隷ハガルは、主の使いによってイシュマエルの誕生を約束される。ハガルは自分の苦しみに目を留められた神に対して、この言葉を神の名として語る。

 ここにはドイツに逃れてマイノリティとして生きる難民たちの姿が重ねられている。ドイツをはじめとして欧州各国が受け容れることになった難民の問題は、本大会の中心的な主題であった。プ ログラムの中には、異文化・他宗教理解に主眼をおいた部会も多数見られた。

 例えば「寛容と平和的共生」と題された講演では、エジプト・カイロにあるアズハル大学の大イマーム、シーク・アフメド・アル・テイェブ氏が登壇し、地中海世界の平和を訴えた。

 ワークショップ・展示・コンサート・礼拝・聖餐式・聖書講解・講演・パネルディスカッションなど、分科会のタイトルは大小合わせて2500を超える。信仰の祭典として祝われた同大会であるが、 政治的に揺れるEUの行く末、性的マイノリティの権利など、現代的な課題を問い、考え、議論する機会ももたれた。

 大会2日目の25日、ベルリン・ブランデンブルク門に設置された特設ステージでは前米大統領バラク・オバマ氏も登壇。ドイツ首相アンゲラ・メルケル氏や、ハインリヒ・ベトフォート=ストローム氏(ドイツ福音主義教会 =EKD=評議会議長)らと対談した。オバマ氏は現職ドナルド・トランプ大統領を暗に批判し、集まった若い世代への期待を投げかけた。

 また、ベルリンとヴィッテンベルクでの本大会に先立ってプレ・イベントもドイツ各地で開催された。宗教改革にゆかりある近郊都市デッサウ= ロスラウ、エーアフルト、ハレ、アイスレーベン、イェーナ、ヴァイマール、ライプチヒ、マグデブルクなど、各都市が独自のプログラムで宗教改革を記念している。

 今年は宗教改革の500周年ということもあり、ドイツ各地で関連イベントが催されている。同大 会は規模・質の面から言っても、ドイツのキリスト教会においてこの記念すべき年を代表するイベントとなった。なお、次回大会は2019年、ドイツ・ドルトムントにおいて開催されることが決定されている。

 イギリスでも記念行事が開催されている。ロンドンには350年前からデンマーク系のルター派教会もある。今年1月、聖公会カンタベリー大主教とヨーク大主教が共同声明を発表。 

 「宗教改革は、生ける神との関係性を再発見するものだ、同時に分裂という悲しみも存在するが、『一致のための祈り』を続けなければならない」と、ハダーズフィールド主教は語る。また一方でその分裂が、教会の生に「多様性」を与え、さまざまな政治的・社会的文化への豊かさをももたらし、「個人という概念」と、「民主主義」の誕生にも寄与したと語った。

 在英ルーテル教会が記念企画の中心的役割を担い、10月31日にはウェストミンスター寺院に英国内外の諸教派の指導者を招いた記念礼拝、また隣接する聖マーガレット教会では「恩寵による自由」と題したシンポジウムを予定している。

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