【追悼】 大津健一さんを偲ぶ「悲しむ者、困窮せる者との連帯の視点」 星野正興(アジア学院常任理事)

 アジア学院理事長の大津健一さんが去る6月22日に逝去された。悲しみに堪えない。

 大津さんは、日本キリスト教協議会の総幹事をはじめ,アジアキリスト教協議会幹事、日本クリスチャンアカデミー関西セミナーハウス所長、西陣市民センター館長、世界宗教者平和協議会の役員などの職を歴任された後、アジア学院校長(2009年)となられ,校長の職務を辞されてからも同学院理事長職(2012年)を務められた。

 それら大きな働きの原点に、学生時代と神学校卒業後1年間筑豊炭坑に関わられたことが挙げられよう。ご家族と共に筑豊での生活をし、特に「筑豊の子供を守る会」でのキャラバン活動を体験したことが、大津さんのその後の生き方に大きな影響を与えた。悲しむ人々と困窮する人々との連帯の視点が、彼の働きの中に絶えずあったのである。

 彼は実に優しい人であった。声を荒げることもなかった。筆者とは高校時代からの友人であるが、高校時代から寡黙な人であった。知らない間にキリスト者になっておられた。ある会で私がある方に激しく抗議した時に、彼は静かに同じ問いを発した。そして彼の意見がその場を収めたのであった。声を荒げた私は恥ずかしくなった。その調子で今まで難題に当たってきたのではないだろうか。

 しかし、その静かさと優しさの中に、強い信念があった。だからこそ、さまざまな働きができたことを思う。彼に関する思い出は多くの人々にたくさんあるだろう。その思い出を超えて、彼の願っていた実を結ばせなければなるまい。

 その一つに、エキュメニカル運動(世界教会運動)がある。悲しむ者、困窮せる者との連帯の視点によるエキュメニカル運動を、残された者が受け継いでいくのである。

 アジア学院での働きは、東日本大震災復興と共にあった。彼が築いてきた世界の教会との交わりが、その働きに大きく作用したことは言うまでもない。必要な時に良い人を得たものだと、感謝に堪えない。

 共に労苦の道を歩まれたご家族にも感謝の意を表したい(アジア学院では、この9月18日午後1時半より「大津先生お別れの会」を開催する)。

ほしの・まさおき

 

*「私の好きだった花、コスモスの咲く頃に、アジア学院内で別れの会を行ってほしい」との遺志を受け、アジア学院では9月18日(月・祝)13時半~15時に学院内コイノニア食堂棟でお別れの会を開く予定。東北新幹線那須塩原駅(西口)より送迎バスの利用も可。参会希望の方はアジア学院事務局長・佐久間(℡0287-36-3111、info@ari-edu.org)まで。

【訃報】 大津健一さん(アジア学院理事長) 2017年7月1日

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