【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 実名はアンゼンで匿名はアブナイ? 総督 2017年8月11日

 迫り来る魔の手からこの世を救い、地上において「神の国」を実現するためには、不断の努力が欠かせない。地の果てまでも福音を宣べ伝えよという命に準じるためにも、我々キョウカイジャーはありとあらゆる方面に日ごろからアンテナを張っておく必要がある。それがたとえ、バーチャルな世界であっても……。

 わたしがこの地に舞い降りて間もない駆け出しのころ、インターネット上でキリスト教に関する情報を検索(我々は「巡察」とも言う)していて、驚愕したことがある。それは、日本の教会やキリスト教に関する情報が決定的に不足していたからである。もはや現代社会において、ネット上に存在しないものは(特に若い世代にとって)無に等しい。

 試しに平日の昼間、「キリスト教」をキーワードにツイッター上を検索してみると、おそらくキリスト教主義学校で授業を受けているであろう学生、生徒らによる「眠い」「たりい」といった目を覆うばかりの愚痴、ぼやきが引っかかる。たまに学校以外からの発信かと思えば、某教団が家庭に訪問してきて迷惑を被ったとか、路上で勧誘されたといった類の報告が大勢を占める。

 まともな教会からの発信はどこに……と嘆きたくもなるが、気を取り直して教会のホームページをいくつかのぞいてみると、数年前から更新の止まっているサイト、デザインは凝っているものの礼拝時間や住所、電話番号、牧師の名前など、肝心の情報が載っていないものなど、クオリティの差が激しすぎて難儀する。

 なぜこれほどにネット上に情報がないかと言えば、おそらく「インターネットはキケン」という思い込みが、未だに関係者の中で根強いからではないだろうか。無論、世間を騒がせているように「出会い系」サイトや「バカッター」(バイト先などでのおバカ写真をアップして炎上する行為)など、ネットリテラシーを著しく欠いたことによる事件、事故を挙げればきりがない。

 しかし、いつまでも既存の概念に縛られたまま新しい伝道ツールに手出しできずに、果たして時代に即した宣教が可能だろうか。素直に「教会に行きたい」と思い立った人が、近くにある教会を探せる環境が整っているだろうか。

 加えて言えば、「匿名はキケン」との思い込みも、ネット上での宣教を阻害している一因ではないかと推測する。これはリテラシーにも深く関係するが、必ずしも「実名ならアンゼン」とは限るまい。当然、リアルだろうがバーチャルだろうが、実名で責任ある発信をすることに越したことはない。

 しかし、当欄「キョウカイジャー」が示してきたように、実名ではないからこそ指摘できる問題もある。関係者のプライバシーは保護しつつも、より本質的な問題に切り込むためには、実名ではできない場合もある。取材先で出た話の中で、実は「オフレコ」部分こそが面白く、最も本音に近かったりすることがある。実名であることを優先するあまり、表面的かつ予定調和的で無味乾燥な内容になってしまっては本末転倒である。

 「実名だから」「リアルだから」真実に近いとは限らない。たとえ匿名だろうが、バーチャルだろうが、そこに愛があり、そこに真実を求めようとする情熱さえあれば、きっとそれは何よりの力になるはずである。

 キョウカイジャー諸君、「匿名をいいことに好き勝手ばかり言って……」などという誹謗中傷に負けてはいけない。実名ではできない、匿名でしかできない〝特命〟が必ずあるはずだ!

総督
 名前不明 キョウカイジャーを統括する司令塔。「神の国」建設に寄与するため、あらゆる予定調和を打ち壊し、業界の常識を覆そうと目論む野心家。地上では仮の姿でキリスト教メディアに携わる。サブカル好きの中二病。炎上体質。
武器:督促メール/必殺技:連投ツイート/弱点:カマドウマ(便所コオロギ)

連載一覧ページへ

TO TOP