映画『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』公開 女優 すみれさん 「三位一体」「聖霊」の難役に挑む 2017年9月1日

 自費出版ながら「人生を変える作品」として評価され、ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー・リストで70週連続No.1に輝いたロングセラー『The Shack』(邦題『神の小屋』)が映画化された。作品内には暗喩的に「父」と「子」と「聖霊」が登場し、キリスト教における「三位一体」を象徴するような描写が頻出する。「聖霊」にあたる「サラユー」役を演じたのは、本作がハリウッド長編映画デビューとなるすみれさん。数あるキリスト教映画でも「聖霊」を演じた俳優はそう多くない。難役に挑んだすみれさんに話を聞いた。

アジア人女性として演じられた喜び

 愛する妻と3人の子どもに恵まれ幸せに暮らしていた主人公・マックが、突如として遭遇する悲劇。年月がすぎても、その深い悲しみから抜け出せず、家族とも距離ができ、家庭は崩壊寸前だった。そんなマックの元へある日、奇妙な招待状が届く。疑念を抱きつつもマックは一人、指定された山小屋へ向かう。そこで待ち受けていたのは想像をはるかに超える出来事だった――。

 「英語版の原作を読んでとても感銘を受けましたが、難しい役でまさか決まるとは思っていなかったので驚きました。時代劇の撮影中に楽屋でオーディションの結果を聞き、すぐに母に電話をして泣きながら二人で喜び合いました」

 義理の父がクリスチャンで、幼いころには教会に通い、幼児洗礼も受けたというすみれさん。小学校もハワイのカトリック系学校に通っていたので、英語の聖書には触れていた。おかげで「三位一体」や「聖霊」についての基礎知識はあったという。

 とはいえ役作りには苦労も多かったはず。しかし、どこかミステリアスな「サラユー」という女性の役として演じることで、それほど聖書の記述やキリスト教の概念を意識することはなかったという。その演技は、撮影現場を訪れた原作者のウィリアム・ポール・ヤングも絶賛するほど。

 「映画の中でも『神様』『イエス様』とは呼ばないので、キリスト教を意識しなくても自然に観ることができる作品だと思います。『サラユー』は『どこにでもある風』という意味だったので、マジカルな雰囲気を心がけました。『3人で一つ』ということが求められる役でしたが、他の俳優の方々とも息の合った演技ができたと思います」

 「父なる神」をアフリカ系の女性、「聖霊なる神」をアジア系の女性で表現しているのも本作の特徴。海外在住のアジア人であるすみれさんにとっても、この役は格別だったようだ。

 「アメリカではアジア人が演じるのは悪役が多いので、とても嬉しかったです。わたしもアジア人がほとんどいない地方の大学で演劇を学んでいたころ、街中でも差別を受けたことはあります。先生から『アジア人は成功しない』と言われたことも少なくありませんでした」

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苦難や逆境にある人々の励ましに

 深い悲しみからの立ち直りが本作のテーマでもある。「人は大きな悲しみを経験する時に、神を恨んで善と悪を裁きがちですが、許せる力というのも大事だなと思いました。もちろん、乗り越えるまでには時間がかかるかもしれませんが。今も苦難や逆境の中にある方々にとって、この作品が少しでも立ち直るための参考や励ましになればいいなと願っています」

 日本の教会にはまだ行ったことがないというすみれさんだが、「神様はいると信じています」ときっぱり。「キリスト教的な環境で育っているので、おそらくモラルや価値観についてはクリスチャンに近い」という。

 「わたしも父と離れて過ごしているので、親子が再会するシーンには思い入れがあります。公開されたら父にもぜひ観てほしいですね」

 映画『アメイジング・ジャーニー 神の小屋より』は9月9日より新宿バルト9ほか全国ロードショー。

 

 すみれ 1990年7月15日東京生まれ。2012年に舞台「GOEMON ~孤高の戦士~」をはじめ、「tick,tick…BOOM!」、「二都物語」などに出演し、歌と演技力の高さに話題を呼んだ。以降は歌手としてもシングル曲を発表し、映画、テレビドラマ、CMなどマルチな活躍を見せている。2015年にはアジアワールドフェスティバルでライジング・スター賞を受賞。映画『手をつないでかえろうよ~シャングリラの向こうで~』(16)で、日本での映画デビュー。海外でも活動の幅を広げており、米国のテレビシリーズ「Hawaii Five-O」で、ケイラニ役で出演。

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