【伝道宣隊キョウカイジャー+α】  アップデートし続ける不完全性 キョウカイブルー 2017年9月11日

 新生「キリスト新聞」にリブートされたブルー。イラストも新しくなってやる気も再起動。このたびの新紙面構成は大歓迎だ。まず紙面が明るいし、読みやすい。横書きってこんなに自然に読めるんだと感動している。キリスト新聞社が発足して70年、会社の歴史を背負うのは重圧に違いないはずなのだが、それでもこの果敢な改革と実践力には脱帽する。帽子かぶってないけど……。

 教会を見回してみると、しけた顔をして「前例がないからやめましょう」「論理的な説明がなされてないんで納得できません」なんて、体のいいリスク提示ばっかりする「保守レンジャー」に支配されてないだろうか。誰かが一念発起、リーダーシップをとって推進したプロジェクトに、いちいち小さな言い間違いやほころびを見つけては鬼の首を取ったように言い立てる輩はいないだろうか。何もしなかった人間が最も賢く、正しく見える。でも、それは教会における知恵として至高のものなんだろうか。

 「責任者」というのは、すべての風を真正面に受けて立つという覚悟をした人間にだけ冠される称号だ。会社を定年退職しても未だに自己紹介で出身大学や所属した会社名や役職名を挙げるマインドは、自分の名前で責任を取るという姿勢に到達しない未熟者でしかない。ある経営者は「やるべし。大いにやるべし」と後進に語り続け、自身はプロジェクトの最終執行者としての責任のみを負い続けたという。

 教会がプロジェクトを行うにあたっては、条件を完璧に整えてから発信することが多い。絶対に失敗が許されないと思い込んでいるからだ。すべてが青信号になるまで待ち続けるような態度を良しとしている。しかし、世の中は教会を中心として動いているわけではない。信号が変わるのを待っていたら、次の信号だって別の色に変わってしまうのだ。プロジェクトの中には、青信号になることを見越して速度は緩めつつも「止まらないと決める」瞬間がある。見切り発車やリスキーであるといわれても仕方のない場面がある。

 若い経営者が決して堅くはない橋を渡るために意を決する時、彼の失敗やほころびを執り成し、援助し、後見人になろうと手を上げる年配者がどれほど多く存在するかで、その共同体の懐の深さと人間理解の成熟度が見えてくる。

 プロジェクトを率いるリーダーは自分の能力を駆使するだけでなく、時間も労力もプロジェクトに捧げていく存在だ。時には私生活や余暇を犠牲に奉仕していることもある。チャレンジすることは失敗の可能性を抱え続けることでもある。こんな時にも「保守レンジャー」による破壊的なダメージがもたらされることがある。「ほら、見てごらん。余計なことをしたからだ」

 チャレンジした人間が批判され、何もしなかった人間が得をする環境こそ教会の高潔な精神を後退させている。

 昨年の今ごろは「ポケモンGO」というゲームが大流行した。事故があったり、生活環境がかき乱されたり、とにかく大騒ぎになった。しかも、ゲームそのものの完成も見切り発車で、アップデートされるたびに完成度が少しずつ増していくというスタイルを取っていた。1年経った今、「ポケモンGO」は、かつてのゲーム以上の深みを持つゲームに「メガ進化」しているのをご存じだろうか。

 不完全な状態が悪という評価の時代は遠のいた。不完全は、完全を目指す途上そのものという認識に塗り替えられた。永遠なる途上者であることを誇ろう。そして、完成された「み国」こそユートピアだと信じて今日も生き抜こう。

キョウカイブルー
 青葉良好(あおば・りょうこう)革新的なテクノロジーには目がないインテリ系電脳牧師。クールに見えて実はツンデレ。電子機器を駆使して仕事をどう能率良くできるか、いつも考えている。メンバー内では最年長。武器:最新型タブレット「なんでもできるホン」/必殺技:プチニンノーダー(整理整頓)/弱点:新型ガジェット

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