コプト教皇初来日 エジプト土着キリスト教と日本の出会い 2017年9月11日

 コプト正教会の首長、第118代アレキサンドリア教皇タワドロス2世が8月26日、日本を訪れた。聖母マリア・聖マルコ・コプト正教会(京都府木津川市)で、オーストラリア・シドニー教区の司教ら信徒と共に、アラビア語、コプト語、英語、日本語で礼拝した。同教会は昨年7月に開始したばかり。東方諸教会の首長来日は史上初で、日本キリスト教史に記憶される歴史的訪問となった。先月末には三代川寛子氏による編著『東方キリスト教諸教会――研究案内と基礎データ』(明石書店)が刊行され、にわかに日本と最古の教会の関係が活況を見せている。

〝テロは市民社会の分断狙う暴力〟 宗教との関係を否定

 27日、聖体礼儀(礼拝)は、教皇タワドロス2世と共にダニエル司教、ヘルミナ司教、アンゲロス神父、アモウニオウス神父らによって開かれ、教会堂の聖別、輔祭の叙任式も行われた。教皇が会堂壁面に置かれたイコンを指差しながら歴史解説する場面も見られた。

 午後、記者会見で教皇は、広島、長崎、また日本とエジプトの協力関係に言及。記者の質問に「ありがとう」と日本語で答える場面もあった。さらに、テロがコプト正教会を狙っているというのは誤解であり、市民社会の分断を狙った暴力であることを指摘し、特に宗教とは関係ないと語った。

 「宗教改革500周年記念の年ですが、若いプロテスタント教会へ、最年長のコプト正教会から助言がありますか」との質問には、「改革という言葉は常に良い言葉です。しかし、1世紀から15世紀まで教会の歴史があります。何を大切にしてきたのかをよく学ぶ必要があります」と答えた。

 28日以降、東京で報道各社の取材に応じ、小池百合子東京都知事、河野太郎外務大臣らと面会、エジプト大使館も訪れた。出国後、続いてオーストラリアを訪問し、全世界のコプト正教会への教皇訪問は、ドイツなど欧州も含め、今後も続く。

■コプト語学者・宮川創氏(ゲッティンゲン大学研究員)のコメント

 政府関係で通用している「コプト教」という訳語は、コプト正教会、コプト教、キリスト教の関係について混乱を招く可能性があります。特に外務省の「コプト教は、コプト正教会に属するキリスト教の一派」(9月5日16時時点のHP)という表記は誤りです。コプト正教会は非カルケドン派のエジプト土着のキリスト教であり、「コプト教」はこの教派の日本での別称です。もともと「コプト」は、ギリシア語で「エジプト」を意味するアイギュプトスがアラビア語を経て、西洋語に輸入されたものです。語源としては、アイギュプトスはメンフィスにあったプタハ神殿の古代エジプト語での名称フゥト・カァ・プタハ「プタハ神のカーの祠堂」にさかのぼると言われます。

 コプト正教会が日本に設立され、教皇聖下も来日されたので「コプト教」という訳語は再考の必要があるでしょう。コプト正教会から分離し、カトリックに教義上合同したコプト典礼カトリック教会もあります。専門家もこの機会に正確な知識をお知らせしたいと考えます。

 

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