共立基督教研究所が新プロジェクト 「神の国と人間の回復」テーマ 2017年10月1日

 東京基督教大学共立基督教研究所(稲垣久和所長)は9月16日、教会の公共的使命について考える「フォーラム21『神の国と人間の回復――教会の公共的使命』」をお茶の水クリスチャンセンター(東京都千代田区)で開催した。

 今年度から「神の国プロジェクト」を立ち上げた同研究所は、日本における市民社会とそれを支える市民倫理の醸成の一環として設けた「対話の広場」と位置付けている。約70人が参加。

 コーディネーターを務めた稲垣氏は「日本は宣教困難な国である」とした上で、その理由を「日本のキリスト者の『神の国』と『地上の国』という聖俗二元論的な福音の受け取り方に問題があるのではないか」と述べた。山口希生氏(同研究所研究員)はイエスの福音宣教の中心が「神の王国」にあることに言及し、「神の王国の到来はいつなのか」について論を展開。「神の王国、より正確には『終末的な神の支配』はすでに開始されている」と結論づけ、今日 の教会の働きはその視点を持った上で考えていくべきと強調した。

 続いて加山久夫氏(賀川事業団雲柱社理事長)は、教会の枠を超えて社会運動を行った賀川豊彦が「イエスの『神の国』の内容は『贖罪愛』にある」としていたことに言及。その贖罪愛は被造物すべて、つまり教会外の社会的弱者にまで及び、教会やキリスト者は贖罪愛の実践に自覚的であるべきだと賀川が語っていたことを紹介した。さらに、自己目的化や自己絶対化に陥りがちな日本の教会は、日本キリスト教史を捉え直し、賀川のような贖罪愛の実践者に学ぶことが重要であると説いた。

 次に岡山慶子氏(朝日エル・グループ代表)は企業の視点から問題を提起。「企業は世俗的なものとされるが、教会こそ聖俗二元論を顕在化しているのではないか」と述べ、持続可能な社会を目指す企業のトップが、その理由を「神の前に正しいことだから」としていたことが、企業の存在意義と自身のキリスト者としての生き方を示されたと語った。さらに「企業は世のために存在する」とした上で、教会は「イエス・キリストの教会は世のために存在する」ということを再考すべきだと提言した。

 同研究所は2回目以降の開催も計画している。

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