【置かれた場所は途上国】 バングラデシュ ■上■  貧富の差と国際化 三浦 曜 2017年10月1日

 バングラデシュ人民共和国はインド亜大陸の東端に位置し、日本の約4割の面積に約1億6000万人が暮らしています。人口密度はシンガポールなどの都市国家を除くと世界一高く、首都ダッカの空港から外に出た途端に「人が多い!」という印象を受けます。

 気候は基本的には高温多湿ですが、短い冬には気温が10度近くまで下がります。季節風の影響で雨季と乾季に分かれており、雨季には東京の年間降水量の約2倍の3000㎜を越える雨が降る地域も多くあります。また、ガンジス川とブラマプトラ川という大河が合流するデルタ地帯に国土の大半が位置することから洪水が頻繁に起きます。

 バングラデシュは1971年までパキスタンの一部で、東パキスタンと呼ばれていました。イスラム教徒の多い国として共通点を持つ両国ですが、言葉も風習も違います。そのため、当時パキスタン国内で実権を握っていた西パキスタンから自分たちの国を手にするため、戦争を経て独立しました(バングラデシュという国名は「ベンガル人の国」という意味)。

 独立から50年近く経った今もベンガル人が人口の98%を占めていますが、言葉も風習も違う少数民族も住んでいます。また、イスラム教徒が人口の約9割と圧倒的に多いながらも、憲法で宗教の自由が認められ、民主主義制の世俗政治を行っている国でもあります。国民1人あたりのGDPは日本の4%ほどしかありませんが、近年は毎年6%以上の経済成長を続けており、中間所得層が形成されています。ベンガル文化とイスラム教という二つのアイデンティティの間で貧富の差や国際化といった、さまざまな変化と課題に面しながらも発展しています。

 テロの拡散という世界情勢に影響される形で、2016年にダッカでテロ事件があり、多くの日本人が犠牲となりました。テロの危険は今でもなくなったわけではありませんが、大多数のベンガル人は外国人に対して親切で寛容です。そして日本人と同じように平和で健康で不自由のない暮らしを何よりも望んでいます。そのために自分ができることは小さなことですが、できることをやっていこうと日々仕事をしています。

三浦  曜 
 みうら・よう 1984年、愛媛県生まれ。米国Washingtonand Lee大学理学部化学科卒業。在学中に都市貧困にかかわるNPOでインターンをした事でNPOの働きに興味を持つ。一般企業で勤務後、2008年にワールド・ビジョン・ジャパン入団、支援事業部緊急人道支援課に配属となる。 スリランカ駐在、東ティモール駐在を経て、2015年8月に退職。ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院で修士号を取得。2016年10月に再びワールド・ビジョン・ジャパンに入団。

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