【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 さらば「初代」ゴールド!  キョウカイゴールド 2017年10月21日

 「先生の授業ではたくさん『愛』を学びました」

 思わず「うわぁ」と声を上げてしまった。勤務先の学校の、最後の授業で生徒が書いてきたメッセージだった。

 学校の教師の仕事の中で、「授業をする」というのは全体のほんの一部にしか過ぎないのだということが、この仕事を始めて一番初めに驚いたことかもしれない。山のような事務作業に担任業務、部活指導、学校行事、エトセトラエトセトラ……。

 その合間を縫ってかろうじて授業をしている、というような感覚に何度もとらわれた。ただでさえ聖書科の授業は週に各クラス1回ずつしかなく、授業における生徒との関わりが薄くなることに悩み、考えついたのが、毎授業の後に質問や批判・感想を書いてもらう「コメントシート」と名付けたものを使ったやり取りだった。

 正直生徒からすれば面倒な作業には違いないので、わたしとしてはおそるおそる提案し、やり始めたこのコメントシート。意外にも(!?)そこまで大きなブーイングやストライキもなく、生徒たちはさまざまに感想や疑問・批判を時に適当に、時に真面目に書きつづってくれた。

 かたくなに「僕は宗教を信じません」と4月から書き続けてきた子が、1年の最後に「僕はやっぱり信じられませんが、信じる人の思いは少し分かった気がします」と書いてきた時は、大袈裟に聞こえるかもしれないが、彼の中に小さな福音の芽が芽吹いた瞬間に立ち会ったような気持ちだった。

 教会であれキリスト教主義学校であれ、対象が大人であれ子どもであれ、わたしたちキョウカイジャーの働きは種蒔きだ。そしてその種がいつ芽吹くのか、そもそもちゃんと芽吹くのかさえわたしたちには分からない。「ただ神のみぞ知る」で、だからこそ、その種が芽吹く瞬間を運良く見られるということは、何とも言えない喜びが身体中を駆け巡るということなのだ。  

 毎日の闘いで傷つくことが多いこの仕事ではあるが、それでもたくさんの喜びの瞬間に今まで立ち会えたことも事実だ。冒頭の生徒からの言葉には、「むしろわたしの方が君たちからたくさん愛を学んだ」としか言いようがない。


 ……実はわたし、キョウカイゴールドはこのたび別のミッションを受けて一旦今までの任務を離れることになった。量産型怪人「ワタシハムシュウキョウデス」との闘いはここでひと段落、とはいかず、どこに行っても新たな敵は現れ、闘いは続いていくのだろう。しかしそれこそがまた福音を宣べ 伝えるというキョウカイジャーとしての使命であり、終わりなき道のりなのかもしれない。

 任務を離れるにあたり、この連載の仕事を「2代目」に引き継いでおいた。昔、ドラマ版「ス〇バン刑事」では桜の大門のヨーヨー と「麻〇サキ」という名が2代目、3代目に継承されたが、わたしからは「キョウカイゴールド」という名前と、そして「愛」を次の2代目に託して旅立ちたいと思う。

 2代目ゴールドもよろしく! また逢う日まで!!

キョウカイゴールド
 金田正美(かねだ・まさみ) 主戦場をキリスト教主義学校とし、量産型怪人「ワタシハムシュウキョウデス」との飽くなき戦いを繰り広げるミッション系あねさん教師。クリスマスよりも期末試験の採点が最大の敵。武器:雑談に負けない声量/必殺技:「あたしの話をきけー!!!」/弱点:方向音痴

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