【置かれた場所は途上国】 バングラデシュ ■下■  不公平な世界の現状と葛藤 三浦 曜 2017年10月21日

 わたしが従事しているのは、バングラデシュの農村部において安全な水を得ることができるように井戸の設置を行うと共に、衛生環境を改善するためにトイレの設置や衛生習慣について啓発するという事業です。

 わたしはいろいろなことに興味を持ちやすいタイプの人間なので、異なる国の人たちが「どんな家に住んで、どんなトイレを使っているのか」や「何を考えているのか」を知ることは楽しみです。

 わたしから見ると「なんでそんなことをするのだろう?」と思うことでも、当事者の立場の論理に基づいた判断だということはよくありますし、そこから自分が気付かされることも多くあります。そのような気付きから自分が変えられる経験をすることも喜びですし、自分の仕事を通じて人々の生活が改善した時や、人々の意識に変化が見られることは、この仕事を行う上で大きな喜びの一つです。

 途上国に住んで働いている外国人は、(現地に同化するひと握りの人たちを除き)だいたいの場合は現地の一般人に比べると給与も生活環境も悪くありません。日本では平均的な生活をしているのに、途上国に来ると急に現地の富裕層になり、現地の一般の人の現実とは違う世界で生活することになります。病気になれば最善の治療を受けられ、食べ物も手に入る中で最良の物を買うことができます。現地の人と比べると、自分が明らかに恵まれ過ぎていて、不公平な世界の現状を実感し、複雑な思いになります。

事業で設置したトイレ

 特に街中で物乞いをしている子どもたちや、病気や障がいを持った人たちの脇を通ると「自分はこの人たちに何もできていない」という思いになることもあります。

 バングラデシュの街角に住む子どもたちが、夢や希望を叶えられる可能性は客観的に見ても残念ながらほとんどないでしょう。そのような子どもたちは世界にもたくさんいるので、このような仕事をしている立場でありながら、自分にできることは限られているということを痛感すると共に、「恵まれた側に立って支援を行うという自分の立場のあり方」がどうあるべきなのかを考えさせられています。

(写真提供・協力:ワールド・ビジョン・ジャパン)

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