「スコラ哲学とプロテスタンティズム」 山本芳久氏、深井智朗氏がトーク 2017年11月1日

 「開かれたスコラ哲学」を特集した『nyx』誌(堀之内出版)第4号の刊行記念として、山本芳久(東京大学大学院准教授)と深井智朗(東洋英和女学院院長)の両氏=写真右から=によるトークイベント「スコラ哲学とプロテスタンティズム」が10月23日、ジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)で行われ、約60人が参加した。

 山本氏は、「イエス自身と福音書あるいは公会議との間に異質性を認める考え方は、聖書の聖典性や信仰の根幹を揺るがすのではないか」「ルターはアリストテレスへの否定的評価や『恩寵のみ』を強調するように、理性を用いて思考しながら理性を否定している矛盾があるのではないか」と問いかけた。

 深井氏は、ルターの「聖書のみ」を突き詰めれば聖書の読みをめぐって異なる解釈が無数に生まれること、カトリックのような正統と異端という枠組みが存在しないので、解釈が異なるごとに教会は分裂していったことを説明。ルターの持つ極端さについては、「世の終わりは近い」という世界観が共有されていた時代に彼が終末的預言者としての期待も受けていたこと、さらに当時の政治情勢の文脈の中で、彼の言葉が先鋭化していったことを指摘した。

 カトリック対プロテスタント、トマス対ルター という単純な二項対立ではなく、ルターやカルヴァンもその土俵を共有したスコラ哲学をめぐる、思考の作法についての理解を深める場となった。

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