【置かれた場所は途上国】 ネパール ■上■  息子と2人で単身赴任 加藤奈保美 2017年11月1日

 「ネパール」と聞くと、やはりエベレスト! ヒマラヤ山脈!! でしょうか。

 ネパールは、北はチベットと接するヒマラヤ山脈、南はインドへとつながるタライ平野にはさまれた、面積約14.7万k㎡の小さな国です。今、ちょうど雨期が明け、観光のベストシーズンが到来! 空気は澄み、山々を遠目に見るにも、眺めつつトレッキングするにも、そして登るにも、いい季節です。ちなみにネパールは、標高5000mを超えなければ「山」ではなく「丘」と呼びます。この定義だと、日本には山がないことになりますね(笑)。

 わたしが通う事業地は、ネパールの極西部に位置するドティ郡というところです。「極めて西」、何だか「奥地」感に充ちたこの地名にワクワクしませんか? たどり着くのは至難の業で、実際に足を運べば、この地域が決して名前負けしていないことが分かります。しかし、一応、舗装された幹線道路が事業地まで続いているため、現地の人々は口をそろえて「ドティはアクセスがいい」と言います。

 生活は極めて不便。土埃と排気ガスがひどく、水や電気は不安定。道路はつぎはぎだらけでガタガタ、水道管敷設や道路拡張工事などが行われると、何カ月も道を掘り返したままの状態になります。ただ、そんな不便さも暮らせばだんだんと慣れてきます。その気持ちのシフトを後押しするのは、何といっても「人の素朴な温かさ」だと思います。

 わたしはこれまで何度か海外駐在を経験したのですが、今回の駐在が以前と異なるのは4歳の息子を連れた単身赴任ということです。

 基本的にモノゴトを楽観視するタチで、この駐在の決断もそれほど悩まなかったのですが、いざ始まってみたら、これがまぁたいへん。不慣れな外国での生活がたいへんなのは織り込み済みですが、外で遊ばせる場所がなかったり、扉を開けたまま走るバスなど安全な移動手段が限られていたり、最初はフラストレーションもたくさんありました。

 ただ、人の優しさに触れる機会が多いのは子連れならではの醍醐味です。道を歩けば皆が頭をなで、バスに乗れば「ここに座れ」とヒザを差し出してくれます。飲食店で見かねた行動があれば、見ず知らずの人にもかかわらず我が子のように諭し、その後、オヤツをそっとご馳走してくれたりします。

かとう・なおみ
 神奈川県生まれ。早稲田大学、同大学院理工学研究科にて建築を専攻。在学中に阪神・淡路大震災でボランティアを経験したことから、防災や被災地支援がライフワークに。卒業後は建設コンサルタント会社に勤務。自然災害を中心とした国内外のインフラ事業に従事する。2008年6月、ワールド・ビジョン・ジャパンに入団。サイクロン後のミャンマー、大地震後のハイチで復興支援に取り組む。東日本大震災後は、一関事務所の責任者として岩手県に駐在した。2014年4月から、アフリカのスポンサーシップ事業を担当、2017年1月からネパールに駐在中。

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