【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 マー君の居場所 キョウカイレッド 2017年11月21日

 「イエス様ってなかなかやるよなー」

 中高科(中学生・高校生対象)の分級が終わった後、教会近くの道路でうんこ座りをしながらマー君やグッチ先輩がタバコを吹かして言っていた。30年前の日曜日の風景を今でもよく覚えている。

 俺が通っていた中学校の2学年上の代は荒れに荒れていた。長ラン、ドカン(制服を加工した変形服)を身にまとい、校内をバイクで走り回る金髪トサカ頭のマー君。先生に飛び蹴りを食らわせて少年院にも入ったことのあるグッチ先輩。その他にも個性的な「ヤンキー」たちが大勢いた。

 牧師の息子の優くんが、マー君やグッチ先輩たちと小さいころからの友だちだった。中学ではクラスも同じだった。優くんは、一緒に悪さをすることはなかったけど、マー君たちと遊んでいた。いつしか教会は彼らのたむろする場所になっていた。

 学校で見せる顔と教会で過ごす彼らの表情が違うことは、中学1年生だった俺にも分かった。学校では眉間にしわを寄せ、上目づかいで先生たちをにらむその眼を教会で見ることはなかった。金髪のトサカ頭も威圧感はあったが、教会では優しい先輩たちだった。ギターが上手で、ビートルズを愛していた。夏休みの作曲の宿題はマー君が助けてくれた。学校でもマー君たちは俺のことをかわいがってくれた。俺を見つけては五厘刈りにしていた頭を「触らせろ」となでくり回していた。

 ある日、俺は職員室に呼ばれた。「マー君たちとはどういう関係か。いじめられてはいないか」と取り調べのように聞かれた。「教会の友だちです」と答えた。先生は口を開けてポカンとしていた。

 ある日曜日に、分級で「あなたは神さまに愛されている。価値のある存在だ」ということを教会学校の先生が熱心に語っていた。それを聞いたマー君は「俺も?」と反応した。「もちろんよ! マー君。あなたは神さまに愛されている大事な存在なのよ」と先生は答えた。マー君は「『愛されている』なんて生まれて初めて言われた
よ」と嬉しそうな、恥ずかしそうな顔をしながら言った。「いつも邪魔者扱いされてきたから。どこに行っても………」。マー君の言葉がつまった。しばらくの静寂があった。

 その後、どんな会話が続いたのかはよく覚えてはいない。しかし、その後、いつもの場所でニコニコしながら煙をくゆらせていたマー君たちの姿は、今でもはっきりと目に焼きついている。

 中学を出て真面目に働いていることは知っているが、彼らが今どこで何をしているのかは知らない。「あなたは愛されているのよ」と聞いたあの日の言葉が、マー君の人生にどう意味を持っているのかを知ることはできない。

 しかし、俺には忘れられない人生の一場面として魂に刻まれている。そして思う。マー君たちのような子どもたちが教会に来た時、俺は受け止めることができるだろうか。心の底から「あなたは神さまに愛さている。価値ある存在だ」と言えるだろうか、と。中学3年の反抗期に突入した息子と日々言い争っている自分を見るにつけ、自分の器の小ささを刻まれた記憶から問われている気がしてならない。

キョウカイレッド
 赤星雄馬(あかほし・ゆうま) 常に筋トレを欠かさない体育会系アスリート牧師。その体の大きさから態度のデカい奴だと見られるのが悩みの種。大食漢。仁義に厚い。武器:黄金バット/必殺技:み言葉千本ノック/弱点:食欲

 

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