【伝道宣隊キョウカイジャー+α】 マタニティ〝イエロー〟 キョウカイイエロー 2018年1月11日

 テレビっ子(ドラマ好き)のわたしにとって、今までずっと悔しかったことは中学卒業時期にドラマ「金八先生」、高校卒業時期にドラマ「ごくせん」が重ならなかったことだ。そんなわたしだったから、自分の妊娠・出産時期にドラマ「コウノドリ2」が重なったことは本当に嬉しいことだった。

 妊娠していなくても、女性でなくても、このドラマは命について学ぶことができる、素晴らしい教材だと思う。しかし、わたしはこのドラマをすべて家で観ることはできなかった。それは、わたしがハイリスク妊娠だったため、入院したからだ。不妊治療を経て、妊娠したわたしはさまざまなことを覚悟していたが、どこか妊娠したら他の妊婦さんのように楽しく幸せなマタニティライフが待っているものと思っていた。だからリスクが高いことを説明されたり、長く入院生活を送らなければいけないことを聞いた時、しばし呆然としてしまった。

 まず、病院を転院し、母親学級を受けた。自己紹介で自分の妊娠の状態を話すと同じ妊婦だと思っていた人たちから驚かれる。そして、そこでなされる妊娠・出産の説明は自分とは関係のないもののように聞こえて、少し疎外感を抱いた。出産に至るまでの流れ、破水したら、陣痛が来たら、出産時のリアルなビデオを見る。わたしはみんなのように経膣分娩はできない。帝王切開術と決まっているから、破水も陣痛も経験しないだろう。

 そんなわたしの気持ちに気づいてくれた助産師さんは、休憩時間にお産に関して心配なことはないか、わたしのところへ聞きに来てくれたり、その後のお話の中でも、帝王切開などの説明をするなど、わたしに配慮してくれていた。誰かが自分を憶えていてくれると思うと疎外感は薄れる。帰り道、そんな説教、そんな牧会をせねばと思った。

 入院後、同室の妊婦さんたちと仲良くなった。話していく中で分かったことは、この部屋の全員が不妊治療後の妊娠だったということだ。体外受精の話、流産した話、時に涙しながら互いの話を聞いた。入院しているわけだから、みんな今妊娠している子どもについてだって、不安と隣り合わせなのだ。励まし合って過ごした入院生活だった。わたしは結婚後、割と早くに治療を始めて、妊娠するのも同室の人たちに比べたら早い方だったのだと思う。そんなわたしでも、教会で、職場で、子どもについて聞かれた。「期待しているからね」(靴や服装で)「妊娠した?」……褒め言葉のつもりなんだろう。時に、「先生みたいな優秀な方は子どもを産むべき」と言われることもあった。言われるたび、「欲しいけどできないんです」といつも言いそうになった。その言葉を飲んで、「できたらいいんですけどね。祈っててください」と笑顔で答えていた。そんな経験をこの同室のみんなはわたし以上に経験したんだろうな、と思った。ただでさえ、治療で体も辛いのに……心が痛かった。

 人と出会った時、話す材料が欲しくて、わたしたちはしばし、恋人や結婚、子どもについて聞いてしまうことがある。マジョリティに属している人なら特に、人には異性の恋人がいて、適齢期には婚姻届を提出して結婚をし、子どもをもうけると考えがちだからだ。しかし、人の人生はそれだけではない。さまざまな道がある。

 今年は、マイノリティな子どもを育てつつ、疎外感を抱いている人、人知れず傷ついている人に寄り添って生きていきたいと思う。キョウカイイエロー、今日もさまざまな道を歩む人のため、心から祈ります!

キョウカイイエロー
 
黄野美晴(きの・みはる) ノリがよく、歌やダンスが大好きなジャニヲタ系ミーハー牧師。実は男性アイドル好き の腐女子。聖書科教師も兼任。泣き虫 で浪費家。武器:ソーテール・シール ド(ウチワ型の盾)/必殺技:キュリ オス・ロゴス・フォース(ペンライト から光を発する)/弱点:イケメン。 熱しやすく冷めやすい。

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