京大で「有賀鉄太郎 没後40年記念大会」 2018年1月11日

 京都大学基督教学会・第19回学術大会(宮庄哲夫代表)は12月9日、「有賀鉄太郎没後40年記念大会」を京都大学(京都市左京区)で開催。約40人が参加した。研究発表は、森川甫氏(元・関西学院大学教授)による「ジャン・カルヴァン『共観福音書註解』――イレナイオスと聖定論」。

 当日、勝村弘也氏(神戸松蔭女子学院大学名誉教授)は「有賀がキリスト教思想研究に導入した方法概念としてのハヤトロギアの有効性を疑う余地はない」とし、有賀の時代性を踏まえつつ大会主旨を解説。続いて、水垣渉氏(京都大学名誉教授)が「ハヤトロギアと≪論理の中断≫」と題して講演した。有賀鐵太郎を理解するための諸前提を説明し、ハヤ・オントロギアの解明へと進んだと指摘した。有賀の主著『キリスト教思想における存在論の問題』の学説史的意義は、ハヤ・オントロギアによるキリスト教思想の分析と解釈、ハヤ・オントロギアによるキリスト教学の位置づけと課題の提示、神学からキリスト教学へ、さらにそこから神学へ、という形で神学に将来的な課題を示したことの3点であるとした。

 次に、鐵太郎・長男の有賀誠一氏(カナダ合同教会牧師)が「父、鐵太郎を語る」として、彼の自己理解にみられる絵画への造詣と志を指摘。鐵太郎の父・文八郎は、キリスト教徒からムスリムに改宗し、後に神戸モスクの開設に関係するも、妻子に改宗を迫ることはなかった。洗礼を受けた鐵太郎は一高東大への進学を断念して同志社に入学。鐵太郎の妻も同志社出身で子ども全員3人の娘と一人の息子を同志社に通わせたことなど、知られざる実像を語った。有賀氏に応じて勝村氏は、鐵太郎の天皇制理解、平和運動とのトロクメやフレンド派との関連、絶対平和主義、ティリッヒやブルンナーとの交友、祈祷論などについて質問。その後、「ハヤトロギアの継承と課題」として、キリスト教学と神学の関係理解、また他宗教との関係を視野にいれた全体討論が持たれた。

 水垣氏の講演は、2019年度の学会紀要「基督教学研究」に掲載される。また有賀鐵太郎の主著『キリスト教思想における存在論の問題』は、40周年を記念して、ペーパーバック版(4,000円)と電子版(2,500円)が再販された(CLAPブックス)。

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