日本YMCA同盟 新ブランドとしてイメージ刷新 〝希望ある豊かな社会の創造〞目指し奮起 2018年1月11日

 「ブランディング」――教会では聞き慣れない用語だが、「人々にどんな良い印象を与え、ファンになってもらうかを戦略的に考える取り組み」のこと。現在130年以上の歴史を持ち、国内250カ所以上の拠点で約14万人の会員が活動する日本YMCA同盟(正野隆士会長)が、新たなブランドとしてロゴもスローガンも一新し、再スタートを切った。さまざまな障壁を乗り越えてたどり着いた、その数年にわたる軌跡を追う。

「ネガティブイメージ」をいかに克服? コンサルティング企業とタッグ

北米YMCAの先例に学んで

 「ポジティブY」との愛称を持つ新しいロゴは、アルファベットの「Y」をかたどりながら、鳥が飛び立とうとする瞬間をモチーフに、生命の息吹、未来へ向かう前向きな力、平和への思いを表現。三つのパーツには今回
定められたブランドスローガン「みつかる。つながる。よくなっていく。」の新しいブランド価値が、右上の逆三角形にはYMCA正章に示された「全人」(霊、心、体)的成長への願いが込められている。

 そもそもの目的はロゴを変えることではなかった。代表理事の神﨑清一さんは、「社会の課題は増えてきているのに、このままでは将来にわたって使命を果たし続けることができないという限界を感じていた」と打ち明ける。YMCA内でも、社会的な評価を再検証すべきだとの危機感が募り、2014年にブランド再生のための「中期計画」を始動させた。

 参考にしたのは北米YMCAの先例。同じく改革を迫られた同YMCAは2010年、「ザ・ワイ」(The Y)に名称変更し、「青少年育成、健康な生活、社会的責任」の各方面で活動しているYMCAの存在を社会に印象付けようとするブランド戦略を打ち立てた。1500人を対象に行った調査を2年以上にわたって分析した結果を受けての大がかりな刷新だった。

 実際に現地の変貌ぶりを視察したスタッフ・役員が中心となり、長期的な改革プランを構想。若手・中堅スタッフから組織された全国YMCAブランディング戦略タスクチームと共にタッグを組んだのは、ブランディングを専業とするコンサルティング企業として、30年以上にわたり200以上の企業・団体・学校・地域行政などのブランド構築を担当してきたグラムコ株式会社(山田敦郎社長)だった。

調査で分かった意外な結果

 同社を中心に綿密なリサーチを実施したところ、意外な結果が出た。YMCAを知ってはいるが利用した経験のない3千人と、過去1年以上前に利用経験のある1千人、計4千人を対象に行ったアンケート調査(2015年12月)で、3割以上の人がキリスト教関連団体という印象を抱いている一方、「利用したくない」理由の2番目に「宗教やキリスト教へのネガティブイメージ」が挙げられたのだ。「利用したくない」理由の1番目は、「何をやっている団体かわからない」というもので、事業領域の拡大によるイメージが散漫となり、宗教的イメージと相まって多くの人が自分とYMCAとは関係ないと思ってしまっていることが明らかになった。

 「勧誘されそう」「アメリカ系の宗教」「閉鎖的」「差別的」――。ブランディング推進協力部主任主事の横山由利亜さんは「ここで挙げられているキリスト教のイメージはほとんどがYMCAと直接関係のないもので、キリスト教をよく知らない多くの人たちがもつ偏見です」と話す。YMCAが直面する課題は、同時に日本の教会へ向けられた問いでもあった。

 「過去にYMCAを利用したことのある1千人は、YMCAの良いところとして『人との出会いや交流』『他ではできない経験』『ボランティア精神』を挙げていて、実はこれらこそYMCAが大切にしているキリスト教。でもだからこそ、YMCAにおいて無意識に、慣習的に行われてきたキリスト教を再点検し、キリスト教の価値を本質的にどう社会に伝えていくのか考える必要を感じました」

 マイナスイメージをはらむ「キリスト教」色を排除すればいいかというと、ことはそう単純でもない。「YMCAはキリスト教に基づく」は譲ることのできない根幹である。(続きは紙面で)

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