【置かれた場所は途上国】 インド ■下■ 恐れずに委ねて自分の仕事を 蘇畑光子 2018年1月21日

 途上国の現場に出張すると、自分の無力さや世の中の不公正を実感せざるを得ないことがあります。事業地の中でも貧しい世帯や、さまざまな要因(障がい、カーストなど)によって特に弱い立場に置かれた人々に出会った時や、都市部の路上で生活する子どもの姿を目にする時などは、特にそうです。

 自分とはまったく異なる、厳しい環境で生きている子どもたちと、相対的にとても恵まれた側にいる自分。そんな自分に何ができるのか? 彼らの益になる支援を届けたいと思うのは、究極的には自己満足ではないか?と、悶々と考えてしまったり、神さまはこのような状況をそのままにされておくのだろうか、このような世の中をどのようにご覧になっているのだろう……と、思ってしまうことも少なくありません。

 2017年1月、インド中部に出張していたわたしは、現場の事務所に向かう車に揺られていました。家がなく、線路沿いの空き地にテントを張って暮らしている人々が煮炊きをする様子をぼんやりと眺めていた時、ふと、「イエスご自身が、彼らと同じように生きられたのでは?」と思いました。イエスご自身が人として歩まれる中で、最も低い立場で、貧しく抑圧され、のけ者にされる経験をされたからこそ、彼らが感じている痛みや苦しみを、本当に理解することができるのではないか。その上で、わたし自身には「恐れずに委ねて、自分の仕事をしなさい」と言ってくださっているのではないだろうか、と思わされました。

 「わたしの愛する兄弟たち、こういうわけですから、動かされないようにしっかり立ち、主の業に常に励みなさい。主に結ばれているならば自分たちの苦労が決して無駄にならないことを、あなたがたは知っているはずです」(Ⅰコリント15:58)

 すぐに自分や目の前の状況に目をとめ、恐れて足がすくみ、前に進めなくなってしまうわたしですが、必ず神さまが働き、最善を為してくださることに信頼して、これからも働いていきたいと願っています。

そばた・みつこ 支援事業部開発事業第2課プログラム・コーディネーター。恵泉女学園大学卒業後、2006年7月にワールド・ビジョン・ジャパン入団。国内でのファンドレイジング、広報を担当した後、2013年4月より支援事業部に所属。南アジア諸国での支援事業の監理を担当。

(写真提供・協力:ワールド・ビジョン・ジャパン)

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