【聖書翻訳の最前線】 旧約聖書②「私はいる」(出エジプト記3章14節) 2018年4月11日

旧約聖書

②「私はいる」(出エジプト記3章14節)

 この箇所「わたしはある」という有名な神の名は、神が永遠の存在であることを示すものとして大切にされてきました。この訳は、使徒たちや初代教会が親しんでいた七十人訳ギリシア語旧約聖書の「エゴー・エイミ」という言葉に基づくものです。

 この度、聖書協会共同訳では、ヘブライ語の「エヘイェ」とその前後関係に注目し、「私はいる」と訳しました。ヘブライ語聖書ですぐ前の文脈を見ますと、「エヘイェ・インマク」(私はいる・あなたと共に)(3章12節)という神の言葉があります。

 12 すると、神は言われた。「私はあなたと共にいる(エヘイェ・インマク)。これが、私があなたを遣わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたがたはこの山で神に仕えることになる。」 13 モーセは神に言った。「御覧ください。今、私はイスラエルの人々のところに行って、『あなたがたの先祖の神が私をあなたがたに遣わされました』と言うつもりです。すると、彼らは『その名は何か』と私に問うでしょう。私は何と彼らに言いましょう。」 14 神はモーセに言われた。「私はいる(エヘイェ)、という者である。」そして言われた。「このようにイスラエルの人々に言いなさい。『私はいる』(エヘイェ)という方が、私をあなたがたに遣わされたのだと。」 15 重ねて神はモーセに言われた。「このようにあなたはイスラエルの人々に言いなさい。『あなたがたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である主が私をあなたがたに遣わされました。』これこそ、とこしえに私の名、これこそ、代々に私の呼び名。
[聖書協会共同訳]

 モーセに現れた神は、アブラハム、イサク、ヤコブに現れて契約を結んだ神であり、その契約に従ってイスラエル人と共にいて、エジプトから導き出す神です。そのような文脈とヘブライ語の「エヘイェ」に注目し、この度の聖書協会共同訳では、従来とは違う「私はいる」という翻訳にしました。

(『聖書 聖書協会共同訳――特徴と実例』より)

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